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露出少女と公務員
【大人 恋愛小説】

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行き止まり-1

私の滞在予定は一週間、残すところ二日のみとなった。明後日には帰国するから、実質的に明日がリディヤと過ごす最後になる。
リディヤの帰った部屋で、私は一人ワインを飲んだ。一人になると、居所をなくした陰茎に違和感を覚える。リディヤも、帰るとあそこに穴が開いていて、塞がらない気持ち悪さがあるのだと言った。
これだけ親密になった他人同士の器官を、果たして引き離してよいものだろうか。抗鬱薬と精神安定剤をワインで飲み、ようやく高揚した気分になった私は、行為の最中に撮影した動画や過去のリディヤの動画を眺めながら、義務も体裁もない自由さを自我に感じた。体の自由も心の自由もないようなものなのに、自分を存分に味わっていると実感したのである。自己愛、利己主義、自分勝手といった言葉が、道徳的なものとさえ響くのだった。
「私には自分の王国がある。しかし、その大地はリディヤでできている。」
独り言を私は呟いた。言葉は勝手に話を続けて
「リディヤにも自分の王国がある。その空は私でできている。」
けれども、二人の自我には離れる権利が常にあり、一つになることはない。これを淋しいと見るか、自由だと見るか。一つになればそれは一人である。二人のままならそれは一つではない。
これからどうしようかと気になり始め、考えを巡らしたら、頭痛がしてきた。私は考えるのをやめ、インターネットのサイトを開くと、古い歌手の動画などを、気の向くまま閲覧することにした。動画を辿るうちに、リディヤと同じ年頃だった時代が思い返されて、私は殆ど慟哭した。

暗い面持ちで翌朝リディヤはやってきた。私も、明るい顔などとてもできはしなかった。けれども、いつものように衣服は脱いで、二人、横たわった。ただ、肌を合わせて横になっていた。
今こそ、この子の家庭事情を聞くべきではないかと、ふと考えが浮かんだ。このまま何も知らずに別れるのは、淋しく残念な気がした。
リディヤは、明日また会えるかわからないからと、手提げ袋に、汚したパンツを沢山持ってきていた。話を切り出すのに躊躇した私が、枕元の袋から一枚取り出して嗅いだら
「それは後にして、あたしを嗅いで」
と言われた。
リディヤは自分で体位を変えると、私の顔に尻を置いた。生きた汗とおしっこと、また女の子独特のにおい、細かく端正な造りの肛門のにおいが、入り混ざって鼻に届いた。これで話をするきっかけを暫く失ったと私は思ったが、すぐ勃起した私にリディヤは笑い声を立てながら、丹念に先端を舐め始めて、徐々に自分から語り出した。
「何だかつまんないの。家も学校も友達も。面白い事がなんにもない。」
赤い女性器が私を惹きつけていたので何も返さなかったが、私の中にはたちまち疑問が、もっと言うなら反感のような思いが浮かんだ。
自分では見つける努力をしたのか。
周りは君のためにいろいろしてくれているのではないか。
しかし、こういう思考の癖が鬱の原因なのだと私は咄嗟に気が付いた。私は、強くにおうリディヤの肛門に鼻を押し付けて、話をひたすら聞くことに決めた。
共働きであまり家にいない両親。親戚同士の不和。少人数のクラスで、気の合う友人の欠如。鄙びて魅力のない町。そこにあって、インターネットは豊饒できらびやかな世界を見せてくれる。見せるだけでなく、言葉も届く。だが、全ては遠く、自分の位置からは、映画のような架空世界と変わらない。
サイトの閲覧者に誘われて肌を見せたら人気が出た。もっと見せろと次第に要求は過激になり、そのうち、同じ要求しか来なくなる。その中で、リディヤが受け止められたと感じられたのが私だったのだそうだ。
私は、本気で相手をしてくれる親であり、友人であり、恋人でもある。また、知らない国の魅力ある異邦人だ。しかも、実際、体で繋がった異性になった。私にとってはリディヤが生き甲斐の全てであるように、リディヤにとって、私はやはり全てなのだった。
話のあと、私たちは延々と繋がった。繋がりながら、互いに死を思った。係累を捨て、こんな事をやめず、二人で生きていけるとは到底思われない。一人で死ぬのもだめだ。生きる希望がないのに相手を求めてやまないのは、矛盾だと感じた。
昼まで私たちは重なって離れる事がなかった。その後、例のデパートのカフェで昼食を取り、再びホテルの部屋に帰って、粘膜のすり切れた男女の性器をまた嵌め合わせた。その部分から私たちは壊れて死んでいくのではないか、またそうなればいいと想像したくなるほど、激しく深く交わり合った。


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