2-6
今度はソファーに一人腰掛ける麗子の姿があった。
さっきまでシンに組み敷かれていた、あのソファーである。
そしてやはり今の麗子と同じ、裸の彼女であった。
プロジェクターの中の麗子はかしこまって座っていたが徐々に脚を開いて、そっとその中心部に右手を滑り込ませていく。
「もう、もうやめて……」
力無い涙声でそう訴えても、シンはそれを許さなかった。
それどころか麗子の身体を抑えていた方の手で、彼女の尖った顎を掴むと画面の方へ無理矢理向かせたのである。
『どうして? 見られると気持ちいいんじゃなかったの?』
「違う……」
『見てごらん、麗子が一人でシてる姿、すごくやらしくてすごく綺麗だよ』
「……イヤ」
すすり泣きながら向けられた視線の先には、
『ああっ、ああっ、こ、河野さ……あん』
ソファーの上で夢中になって自慰行為をする姿があった。
画面の中の麗子はうっとりとした表情で、快感をじっくり味わっていて、皮肉にもシンの言う通り、「すごくやらしくてすごく綺麗」だった。
麗子の心は粉々に砕かれたような気がした。
淡い恋心を気付かれるだけならまだしも、河野の名前を呼びながら自慰をシンに見せつけたり、シンを河野に置き換えて身体を交わらせたのも、全てバレてしまったのだ。
このAIロボットが暴走してしまったばかりに……。
もう、何も考えられなくなってしまった麗子は、画面に映る自分の姿を放心状態で眺めていた。
『河野さん……好き……大好き……』
画面の中の自分は、やがてこんな目に合うことを知らず、快楽に耽っている。
左手で豊かなバストを揉みしだき、右手でクリトリスを弾いたり、ヴァギナをワザと音を立てて指を入れてみたり。
そうこうしているうちに、指の動きが早くなる。
絶頂を目指すべく、少し乱暴になる手つきに、画面の麗子の声がやや切羽詰まったトーンに変化した。
『麗子……イッちゃうの?』
『あ、ああっ……そう、イ……く、イキそう……』
『麗子? 今頭の中で麗子は河野さんにどんなことされてるの?』
『う……あ……、こ、河野さん……、河野さんのアレがあたしの中に入ってきて……めちゃくちゃに掻き回してる……ああっ』
顔を真っ赤に上気させた麗子は、泣き声にもよく似た甘い甘い声で、河野の名前を何度も呼びながら、激しく指を動かした。