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シンは組み敷いていた体勢から体を起こすと、意外にも河野に好意的な瞳を向けた。
『よかった、これで麗子の満足度がもっと高められる』
「シン、やめて……。それ以上言わないで」
しかし、シンは止まらなかった。
ここ数日で学んだ麗子の嗜好は、いじめられたり辱められるとより気持ちよくなると学んだから。
『河野さん、麗子は僕と毎日セックスしながらあなたの名前を何度も呼んでいた』
「は?」
「違う! 何言ってるの!!」
必死に首を横に振る麗子を見て、クスリと笑うだけのシンは手のひらを突然白い壁に向けた。
すると。
『あんっ、あっ、あっ』
仰向けで明らかに繋がった麗子の悦ぶ姿が映し出された。
シンの手のひらには、麗子も知らないプロジェクター機能が搭載されていたのである。
だが、今の麗子にはそんなことは関係ない。
「いやあああ! やめて!!!」
こんな映像、撮らせた記憶なんてない。
血の気が引いた麗子は、恐怖と羞恥で震えた身体をなんとか動かし、壁に向けたシンの手を抑えつけようとするが。
『麗子、どうして止めようとするの? ホラ、いつも言ってたじゃない。“河野さんに麗子の恥ずかしい姿見てもらいたい”って』
シンの空いてる方の手に、麗子は難なく彼の身体の中に捕らえられてしまう。
そしてシンは、プロジェクターが映し出す画面を顎でしゃくってみせた。
そこに映っていたのは、長い脚を左右に開いて、ひたすらにシンにその中心を打ち付けられている姿。
『ああっ……河野さん……あっ、ああっ』
ボリュームが大きめなのか、麗子の喘ぎはもとより、ペニスがグチョグチョに濡れたヴァギナを抜き差しする水音までも響いていて、河野はその場に凍りついていた。
麗子はその光景を目の当たりに出来ずに、唇を噛み締めてひたすらに俯いている。
静まり返る部屋に、当時の営みを再生した会話だけが虚しく響く。
『麗子……河野さんとこんなことしたいって思ってるの?』
『そうよ……あたし、河野さんに抱かれたくて……いつもそればかり考えてた……あんっ』
『河野さんと、どうなりたいの?』
『はあっ……あ……河野さんにいっぱい……いっぱいキスされたい……。河野さんに……たくさん好きって言われたい……思いっきり抱かれたいっ……』
そこまで言うと、今度はプロジェクターに別の場面が切り替わった。