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自分のはしたない姿を見てほしい。
普段の麗子からは想像もつかない歪んだ欲望。
その細身にしてはたわわな丸い乳房を、白魚のような美しい手がやや乱暴に揉みしだく。
そして、クリトリスをずっと優しくなぞっていた指は、枯れる事を知らない陰裂の中に埋められていく。
そんな麗子の様子をジッと眺めていたシンは、また一つ学習をしていく。
ーー女ハ恥ズカシイコトヲサレタリ、イジメラレタリスルト、トッテモ気持チヨクナレル。
「ああっ……河野さん!! ……あたしの恥ずかしい姿……見て! あたし、こんなイケナイことしてるのぉ!!」
そこで初めて、麗子はずっと片想いをしていた男の名前を呼んだ。
刹那、シンの瞳がキラリと光る。
赤らめた頬。半開きの口から漏れる喘ぎ声。全身に走る鳥肌。ツンと尖った形の良い乳首。そして麗子の指で掻き回されて蜜がとめどなく溢れているヴァギナ。
それは、紛れもなく麗子が悦んでいる時の反応そのものである。
しかも、彼女があるキーワードを口走った瞬間に、明らかに声のトーンが高くなった。
ーーコウノサン。
シンはそのキーワードを密かにインプットした。
「ああっ、もうイク……ッ。河野さぁん……イッちゃうよぉぉ!!!」
そして、麗子は身体を大きく仰け反らせて達した。
そのキーワードをどう捉えたのかは、シンにしかわからない。
だが、明らかなのは、麗子がそのキーワードを口にした時に身体の反応がよりよくなったということ。
麗子が絶頂する様子を眺めていたシンは、また一つ、学習をした。
そしてこの日以来、麗子はどこか吹っ切れたようにシンとのセックスをより倒錯的な世界へと、変化させていく。
より、大胆に。より、淫らに。
そして、その日から麗子は行為の際に河野という男の名前をよく呼ぶようになった。
片想いの男を思いながら、溺れていくシンとのセックス。
シンはそれを全て受け入れてくれる唯一無二の存在。
その快楽の世界にすっかり堕ちてしまった麗子。
今日も彼女のマンションの一室では、切なくも淫らな嬌声が響いていた。