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才色兼備と幼い頃からもてはやされてきた麗子。
スラリと背の高い彼女は、気の強そうな顔立ちの美人である。
実際、仕事において一切の妥協を許さない彼女は、その気の強い見た目のまま「鬼の麗子」として、同じ仕事仲間からも恐れられているところがあった。
それ故に、仕事仲間の男達は、麗子を羨望の眼差しで見つめることが精一杯、口説くなんて恐れ多くてもってのほかである。
だが。
「あっ……ほ、ら……見て……あたしのここ……こんなに熱くなってる……ああん……っ」
そんな高嶺の花である麗子が、AI相手に自慰を見せつける、仕事仲間には到底想像もつかないような行為を今まさに行っていた。
気が強そうな見た目の麗子は、実は被虐願望があったのである。
Mっ気のある麗子は、その容姿の麗しさもあって、自分の乱れる姿を誰かに見せつけたいという、歪んだ欲望を心の奥底に燻らせていた。
だが元来のプライドの高さがあって、その欲望は付き合ってきた男にすら晒すことはなかった。
だけど、シンが相手なら。
感情を持たないロボットが相手なら、どれだけ変態チックな願望を剥き出しにしても軽蔑されることはない。
やっと燻ったままの欲望を昇華させることができた喜びと解放感で、麗子はシンが今まで見たことがないほど美しく乱れていた。
麗子が一人で乱れる姿に、シンの茶色い瞳の奥のセンサーが反応する。
『すごい、たくさん溢れてきてる。僕とセックスしている時と同じか、それ以上……』
麗子の体温、脈拍、汗のかき具合や愛液の量などを特殊なセンサーで読み込めるシンは、いかに今、麗子の気持ちが高ぶっているのかを目の当たりにしていた。
「シン……。女はこんな形で恥ずかしいことをされたり……いじめられたりすると、とっても気持ちよくなれるのよ……あはぁんっっ!!」
『恥ずかしいことをされたり……いじめられたり……』
シンのまっすぐな瞳に、麗子はいよいよ昇り詰める準備を始めた。
脳裏には、シンではなく、別の男の事を思い浮かべながら。