それぞれのアイノチカラ-4
若菜はマギーを連れて即席で緊急の警視総監室に入る。
「まだ来てないかー。そろそろ来るはずなんだけどな。」
必要な物を東京から送って貰ったが、まだ到着してないようで、若菜は腰に手を当てフーッと溜息をついた。
「上原さん、いつまでこっちにいらっしゃるんですか?」
何の気なしに聞いたマギー。
「ねー、あんた最近どうしたのよ?前だったら、若菜さん、いつまでこっちにいるんですか?って言ったでしょ?よそよそしくなぁい??」
「だ、だって、一応警視総監だから…」
「まー、普通にしてよ、普通に。どっちかって言うと、別にタメ語でもいいって思ってんだからさー。」
「さすがにタメ語は無理ですよ…。」
「まぁもし静香先輩が生きていたとして、先輩からタメ語でいいよと言われても、確かに先輩に向かってタメ語は使えないかな、私も。アハハ!」
「ですよ〜。あ、でもよそよそしい言葉使いはやめます。すみません。」
「まーいいって♪」
そんな会話をしていると、表からドアをノックする音が聞こえた。
「すみませーん!遅れました!!」
元気な声だ。ようやく荷物が届いたようだ。しかし何故かマギーには引っかかるものがあった。
「遅ーいっ!!後でお仕置きだからね!さ、入って!」
「失礼しまーす!」
ドアが開き入って来た男の顔を見て、マギーは一瞬思考回路が完全に止まった。
「す、杉山君!?」
ジャージ姿にタオルを巻いた男…、それは杉山であった。
「久しぶり!!」
能天気に敬礼する杉山にマギーが慌てて歩み寄る。
「ど、どうして杉山君が!?」
「私が荷物をトラックで運ぶようお願いしたのよ。」
「え…?」
思いがけないサプライズにマギーはまだ目をパチクリさせていた。
「杉山君、暇そうだったからさー。」
意地悪そうな笑みで杉山を見る。
「何言ってんスかぁ!?こっちはもう少しで解決出来そうなヤマを追っかけてる途中だったのに、言う事聞かないと田舎の山奥に左遷するって脅すからぁ!」
「とか言ってマギーと会えるのが楽しみだったんでしょ?♪」
「あ、バレました??アハハ!」
2人はまるで漫才をしているかのように話していた。
「お楽しみって…こう言う事だったんですか??」
「うん。しかも杉山君にはこの事件が解決するまでこっちにいて貰う予定だから、最高のお楽しみでしょ?」
若菜は無邪気にウィンクをしたのであった。