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美雪
【学園物 官能小説】

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美雪-17

 翌週の土曜日に哲治はピンクのセーターこと優花とデートした。以前は毎週のようにデートしていたが母親の入院以来途絶えていたから久しぶりのような気がする。そして会えばやはり哲治は優花のことが好きだと改めて思うのである。単なるセックスフレンドだというのは勿論照れ隠しである。優花は背が高くてスラッとしているのに胸は大きくてロングヘアー、竹久夢二の絵に出てくるようなロマンティックな顔立ちの美人であり、非常に目立つ。

 「哲治君、私のこと好き?」
 「勿論」
 「高校を卒業したらどうするの?」
 「大学に行くよ」
 「大学を卒業したら?」
 「それは何処かに就職するさ」
 「それならうちのお父さんの会社に就職したら」
 「そんなの厭だ」
 「どうして?」
 「男は自分の人生は自分で切り開くんだ」
 「お父さんの会社に入ったって自分で切り開いて行けばいいじゃない」
 「そんなのは自分で切り開いたことにならない」
 「でも私と結婚してくれるんでしょ?」
 「それはそのつもりだけど、それとこれは別さ」
 「結婚するんならいいじゃない」
 「良くない」
 「どうして? 尻に敷かれそうだから?」
 「優花の尻に敷かれるのなら喜んで敷かれるよ」
 「だったらいいじゃないの」
 「俺は肉体派だから肉体労働の方が合ってるんだ」
 「どんな仕事?」
 「建設関係に進みたい」
 「ビルとか?」
 「それでもいいけど、もっと大きな奴」
 「もっと大きな奴って?」
 「ダムとかコンビナートとか」
 「やっぱり消費者金融っていうのは偏見があるの?」
 「そんなの無い。だから俺は大地に物を作る大きな仕事がしたいんだ」
 「そういう仕事だと一緒に生活出来ないこともあるんじゃないの?」
 「そんなことはない。今は奥さんと一緒に現地赴任して仕事するような時代なんだ」
 「そう? それならいいけど」
 「何で? 俺が浮気すると思ってるの?」
 「思ってるよ」
 「俺がどんだけ優花に惚れてるか知らないな」
 「知ってるよ」
 「だったら、そんな心配はするな」
 「哲治君の性格を知ってるから心配するの」
 「俺の性格って?」
 「会ってる時は私に夢中でも会ってない時は私のことなんか全然考えていないじゃない」

 優花は学校の成績は真ん中よりずっと下と自分で言うが頭の悪い女の子ではない。ちゃんと自分の好きになった男のことは良く観察しているのである。
二人は既に肉体関係を結んでから1年以上になる。優花が高校生になって直ぐの頃から二人は大人の付き合いをしてきたのである。しかし優花は当時から体も雰囲気も全くの大人で、高校1年生にはとても見えなかった。今は高校2年生になっているが、制服を着なければ社会人にしか見えない程である。
これほどの美人であれば他に何も無くともそれだけでもてるだろうが、優花の父は大手の消費者金融の社長であり、金はうなる程持っているという評判であった。そして優花は母が小さい時に死んで家庭では主婦代わりの役割を果たしていることもあって、いつもかなりの現金を持ち歩いていた。
しかし哲治は優花が美人だから惚れた訳ではないし、まして金持ちの娘だから惚れた訳ではない。何故かは知らないが優花に一目惚れされて積極的に誘惑され、気が付いた時には逆に夢中になっていたのである。
誰からも羨望の眼差しで見られるような美人が哲治に対してはひたすら可愛い恋する乙女になってしまうところが哲治の男心を擽る。誰が見ている所でも優花はまるで子犬のようにじゃれて甘える。子供の心と大人の心を併せ持った優花なのである。哲治は確かに外見が良くて女の子にもてるけれども、優花程の美人であればもっといくらでもいい男と付き合うことが出来るに違いないと思う。そう思うと哲治は時々優花に対して自信を失いそうになることもあるが、すると優花はそんな哲治の気持ちを敏感に察したように人目を気にせず何処でも甘えてじゃれつき、哲治を安心させるのである。哲治はそんな優花にもう夢中なのであった。


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