美雪-12
「お前は自分の事ばっか考えてるんだな」
「買って来た方が早いんじゃない?」
「うるさい。お前が其処にいると俺の脳波は乱れるんだ。自分の部屋に行ってオナラを2〜3発かましてろ」
「オナラってかますって言うの?」
「お前のは出るなんていう生易しいもんじゃないからだ」
「そこは電池入れる所だよ」
「だから何だ?」
「そんな所開けたって直せる訳無いじゃない」
「あのな。あっちへ行ってろってさっきから言ってるだろ」
「あっちへ行って何してればいいの?」
「だからお前の得意なオナラでもぶっ放してろって言ってるんだ」
「オナラの出し方なんか知らないもん」
「俺の真似をするな」
「それじゃ、出かけようかな。出かけてもいい?」
「うん? ああ、何処でも出かけてこい」
「どれくらい掛かる?」
「時間か?」
「うん」
「30分もあれば楽々だ」
「それじゃ1時間経ったら戻るね」
「今30分と言ったのが聞こえなかったのか?」
「だから余裕見て1時間上げる」
「馬鹿者め。テストしてんじゃないんだ。お前に時間貰ういわれはない」
「だって、さっきからいじくりまわしているだけで、まだ蓋も開いてないよ」
「裏蓋の開け口を探してんじゃない。目覚ましを回転させながら構想を練ってんだ。秒針が動くっていうことは動力の伝達装置には問題が無い訳だ。従って動力発生装置に問題があると考えた方がいい」
「車の修理じゃないんだよ」
「機械は何でも同じなんだ。俺がこの目覚ましを見て車と勘違いしたと思ってんのか?」
「あのね。ドライバーは要らないのよ。此処を10円玉か何かで廻せば蓋が開くの」
「うるさい。俺は蓋を開けた後の備えをしてるんだ。早く出かけて来い。戻るまでには直しといてやるから」
「うん。それじゃお願いね」