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美雪
【学園物 官能小説】

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美雪-11

 「ねえ、食べたらバラエティ・ショップに寄ってもいい?」
 「何買うんだ」
 「目覚まし時計を買いたいの」
 「何で? お前目覚ましなら持ってるじゃないか」
 「そうだけど壊れたから」
 「落としたのか?」
 「別に落とさない」
 「張り手でもかましたんだろう」
 「何? 張り手って」
 「だから音を止めるのにベタンと張り手したんだろう」
 「そんなことしないよ。お兄ちゃんじゃあるまいし」
 「電池は交換したのか?」
 「やった。完全に壊れてる」
 「何で壊れるんだ」
 「寿命じゃないの?」
 「寿命って、あれはお前が中学に入った時に買ったんだろ」
 「うん」
 「まだ3年ちょっとしか経ってないじゃないか」
 「安いから、それ位で寿命なんじゃないの?」
 「そんな馬鹿な。安いから狂うっていうことはあるけど、機械の寿命なんて安くても変わりないんだ。金属疲労とかそんなのが来るまで寿命はあるんだ」
 「でも、とにかく無いと明日から困るから」
 「俺が直してやる」
 「直せるの?」
 「ああ、そういうのは得意なんだ」
 「直すんじゃなくて壊すのがでしょ」
 「馬鹿にするな」
 「でも、たった1000円で買えるんだよ。目覚ましなんて」
 「値段の問題じゃない」
 「じゃ、何の問題?」
 「使える物を直さないで捨てるという考え方が問題なんだ」
 「別に捨てないよ。オルゴールは気に入ってるから、オルゴールだけ聴く」
 「だから俺が直してやる」
 「出来るかなあ」
 「そんな物、お前がオナラを2〜3発してる間に直してやる」
 「オナラ、オナラって言わないでよ。たまたま1回しただけなのに」
 「嘘付け」
 「本当よ」
 「1回したってことは何回でもするんだ」
 「どうして?」
 「あれが生まれて初めてで、後にも先にもあれっきりなんてことは無いんだ」
 「無いんだって言っても、そうなんだもん」
 「誰が信じるか」
 「あーあ。たった1回聞かれただけで死ぬまで言われそう」
 「それくらいあの音は強烈な響きだったってことだ。よし、帰るか」
 「うん。払ってくる」
 「あー、食った、食った。腹いっぱい」


 「持って来てみろ」
 「何を?」
 「目覚ましだよ」
 「本当に直せるの?」
 「いいから、持って来い」
 「それじゃ、これ」
 「何だ? 見た目は別に悪い所無さそうだな」
 「見た目は良くても動かないの」
 「動かないって、動いてるじゃないか」
 「時計を動かしてから動いてるだけ。直ぐに止まる」
 「そんなことないだろ。あっ、止まった」
 「ね?」
 「と言う事は秒針を動かすシステムには問題が無いという訳だ」
 「秒針も止まったよ」
 「それは秒針というのは年中動いてるから疲れるんだ」
 「大丈夫かな。とても直せそうに思えないな。まだ裏蓋1つ開けてないじゃない」
 「俺は何でも理論的に考察してから行動を開始するんだ。その方が結局早いんだ」
 「明日の朝までに直せるの?」
 「明日の朝まで掛かったら俺は寝る時間がなくなっちゃうじゃないか」
 「それはいいけど、私が寝坊したら困る」


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