美雪-10
「お兄ちゃん、彼女と一緒に食べた時にもキムチ食べたの?」
「食べたよ。何で?」
「口が臭くなるじゃない」
「二人で食べれば気にならない」
「それでキスするの?」
「キスだって何だってする」
「え? 本当?」
「ああ」
「セックスもするの?」
「それはノーコメント」
「て言うことはするの?」
「ノーコメントって言っただろ。ノーコメントってのは肯定も否定もしないということだ」
「嫌らしい」
「だから、嫌らしいことをするかしないか、ノーコメントなんだ」
「だから、それが嫌らしい」
「何が?」
「男ならはっきり答えればいいじゃない」
「それじゃする」
「えーっ。本当?」
「お前人のことに関心なんか持つんじゃないよ」
「本当にセックスしたの?」
「ああ」
「子供が出来たらどうするのよ」
「セックスすると子供が出来るのか?」
「出来ないようにしてやってるの?」
「だからセックスすると子供が出来るのかよ」
「そういう可能性はあるじゃない」
「そうか」
「そうかなんて言ってる場合じゃないよ」
「俺はセックスしても子供なんか出来ないと思う」
「どうして?」
「ケツの穴を使うから」
「え?」
「冗談だよ。セックスなんてする訳無いだろ」
「あー、驚いた」
「お前、俺が何をしようとお前に関係なんか無いんだ」
「どうしてよ」
「俺よりお前が妊娠しないように気を付けろ」
「私が妊娠する訳無いじゃない」
「どうしてだ」
「妊娠するようなことしないから」
「まあ、相手がいないからな」
「相手がいてもしないもん」
「相手がやってくれないんだろ」
「ねえ、お兄ちゃんって経験あるの?」
「あるよ」
「本当?」
「何の経験?」
「馬鹿。セックスの経験」
「ああ、それか」
「何のことだと思ったの?」
「妊娠のことだと思った」
「馬鹿。それで経験あるの?」
「セックスの?」
「うん」
「そんなのはな、今時みんな小学生で経験するんだ」
「嘘」
「高校生でまだ無いと思ってたのかよ」
「嘘。嘘でしょ?」
「セックスって何のこと?」
「え?」
「割れ目から血が出てくることだろ?」
「お兄ちゃんに割れ目なんかあるの?」
「ああ。小学校の時に痔になって出血した」
「馬鹿。人がまじめに聞いてるのに」
「人がまじめに答えてるのに」
「もう頭に来たからキムチ全部食べちゃおう」
「馬鹿。キムチは俺の好物なんだ」
「もう一つ頼めばいいんでしょ」
「そうか」