立花文恵(34)-17
セックスの最中、声を抑えようとするタイプの女は存在する。
溢れてしまうよがり声を必死で堪えようとする風情には、いじらしいような、何とも雄の淫心を煽るものがある。
文恵はそんなタイプらしく、かなり感じやすく声も出てしまうようなのだが、押し殺して聞かずまじとしていた。
俺は心持ち文恵の腰を抱え上げ、膝に乗せるような格好で可能な限り深くまで挿入し、それからグネグネと「の」の字を描くよう文恵の胎内をえぐり回した。
文恵は片手で俺の腕にしがみつき、爪を立てるほど感じているその声を、もう片方の手を噛んで制していた。
俺は文恵の口から手を引き剥がし、
「ダメだよ、そんな、綺麗な手に歯型ついちゃうくらい我慢してちゃ。気持いいなら、思いっきり声出していいんだよ」
「やっ……あぁっ、く、ふうぅっ……恥ずかしいっ……声いっぱい出ちゃうっ、みっともないからぁ……」
「みっともないことなんかないよ。エッチな声聞かせて。感じてる顔も、感じてる声も、我慢なんかしないで開けっぴろげにして欲しいな」
優しく囁いて、キスした。
「んっ、ふうぅ……んああぁ〜〜っ!」
ベロチューしたくても出来ないくらいだった。くびきを解かれた文恵は繋がった口の狭間からどんどんと声を垂れ流し、果てはうるさいとまで思ってしまうほど盛大に喘ぎまくった。
涙まで流しよがり狂う文恵。乳首をペロ舐めして、少し強めにコリッと噛んだら、喉が引きつったような声をあげてイッた。
猛烈ピストンを繰り込んで、また汗だくになっている腋をしゃぶり回しながら、俺もイッた。
ゴム射精を経てもそのまま腰振りは継続だ。
見つめ合い熱烈キスを交わしてズコズコと膣内感触を堪能し、再度のフル勃起に持ち込む。
中でコンドームが外れてはいないか、などと不安が頭をよぎったが、確認しようにも文恵は脚を絡めて俺の腰を離してくれそうになかった。
「ああぁっ、イクっ……またイクよっ……!」
「はああぁんっ、イッてぇ……気持いいのぉっ……あたしもイグうううぅっ!」
しっかりと手を握り合って、文恵が達するタイミングに合わせ、俺も再び果てた。
引き抜いたペニスからコンドームが外れ、文恵の膣内に残った。
二発分の白濁溜まりとなったゴム袋はその膨らんだ先端を肉洞に包み込まれたまま、萎みかけたペニスだけを離脱させたのだ。
ぬるぬるの愛液にまみれた肉ビラの隙間から、だらりとコンドームの裾が垂れ下がっている光景は、実にいやらしく背徳的だった。
(大丈夫かな、まんこの中に漏れてんじゃねえか……)
おっかなびっくり、ピロリとはみ出たゴムを引っ張って、容量オーバーと思えるほどザーメンの溜まったそれを引きずり出した。
「す……凄ぉい……そんなに出たのぉ……」
エクスタシーに弛緩した表情をさらにとろけさせ、文恵は呟いた。
口に一発、ケツ舐めされて一発を出してからの射精である。我ながら相当なものだ。
「文恵とこれだけエロい絡み合いしたら、悟さんだってこれくらいイケちゃうよ」
俺は文恵の眼の前で重いコンドームをぷらぷらさせた。
「いやっ、さすがにそこまでは無理です!」
すかさず悟さんが突っ込んだ。
顔を見合わせ、俺たちはどっと笑った。