立花文恵(34)-15
尿ではなかった。
「も、漏らしたのか?」
悟さんが腰を浮かせた。
「おしっこじゃないですね。潮噴いちゃったみたいですよ」
「潮……」
悟さんはビクビクと痙攣を繰り返す文恵を凝視し、呆然としていた、
「男の射精みたいなもんですよ。こういうイキ方もあるんです。初めて見ました?」
悟さんは文恵から視線を離さず、頷いた。
「そっかぁ。悟さんの前で、初めて潮噴いてイッちゃったんだ。文恵、恥ずかしいねぇ?」
尻肉を撫で回し、涎まみれになっている毛深い肛門を指でなぞってやった。
「こ……こんな気持ちいいの、初めてぇ……」
うわごとのように文恵は言った。
愛する夫が聞いているというのに、他の男が加えた愛撫のほうが気持ちいいなどと、冷静な思考が働いていれば口に出来ない台詞だろう。しかし身も心もとろけきった文恵に、そんな判断は不可能というものだった。
俺は、
──怒らないで下さいね。
悟さんに詫びるようなアイサインを送った。
座り直した悟さんは、一体どんな心境であることか。察するべくもないが、複雑な煩悶を必死で押し殺してだろう、
──どうぞ、続けて。
そんな視線を俺に返した。
「おしゃぶり、したかったでしょ?」
膝立ちになって文恵の顔先に股間を突きつける俺だ。
「悟さんに見せながら、他人のチンポ思いっきり舐めまくって、じっくり味わっていいんだよ」
フル勃起し、先端から我慢汁をいっぱい垂らしてヌラヌラと光る亀頭部分を、文恵の口元から鼻周り、頬へと、なすりつけてやった。
「凄い……おっきい……」
「悟さんのより大きい?」
「うん……こんなの、口に入るかな……」
「やってごらん。無理に咥えなくてもいいんだよ?」
「咥えたぁい……」
ムギュ、と根元あたりから掴み、文恵は大きく口を開けて亀頭を丸呑みした。
「んっ……んむぅ、えぉ……」
口内で舌を旋回させ、亀頭全体、裏表余さずねぶり回す文恵だ。
おそらく悟さんと行為に及ぶときは、いつもこうしているのだろう。慣れた習慣の手並みは、ツボを心得た巧みなものだった。
「おおっ……上手……気持ちいいよ、文恵っ……」
俺の上ずった声に、いっそうハッスルしていく文恵。さらに深く呑み込んでいき、内頬へペニスを擦りつけた。
右の頬でしごいたら、左の頬でもしごきなさい──神の子はそんなことは言わなかったろうが、誰に求められずとも実践する文恵は、女神様だ。
「凄い……文恵のフェラ、めちゃ気持ちいいですよ。俺がこんなこと言っていいのか分かんないけど、愛情たっぷりに丁寧なおしゃぶりで……悟さんも、負けないくらい愛情込めて文恵のおまんこしゃぶってあげて下さいよ?」
どうしてこんな偉そうな訓示を垂れたか分からないが、この夫婦にはもっともっと相互に深まる悦びを分かち合って貰いたいと、祈るような気持ちになっていた。
「そうします。文恵の尻の穴まで丹念に舐めて、潮を噴かせるくらい感じさせてみたい」
「あ……そこは別に真似しなくてもいいんですけど……」
ちょっと天然じみたところを覗かせる悟さんが微笑ましかった。
「ああっ……でもマジで気持ちいい。悟さんは、口の中でイッちゃったりとかするんですか?」
「なるべく我慢するんですが、堪えきれなくなって口に出してしまうこともあります」
「じゃあ、文恵は口で受けるの抵抗ないんですね。俺も口でイカせて貰おうかな……」
乱れた髪をかき上げて文恵の顔を見ると、上眼で俺を捉え、
──いいよ。
とでも告げるかのように、文恵は優しげな微笑みをくれた。
俺と悟さんの区別がつかなくなっているのか、愛するパートナーに対する妻の顔で見つめられ、俺は不覚にもキュンとした。
「あっ……ああっ、ダメだ……イクっ!」
襲いくる絶頂感に顔をしかめ、果てる俺。
そんな表情まで瞬きもせず凝視し、文恵は口内射精を受けた。