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Overtake goodbye
【姉弟相姦 官能小説】

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B-2

 「彼女、小学校時代の同窓生なんだよ。だから呼び捨てなんだ。」
 「あんたの友達は知ってるけど、あんな娘が居たっけ?」
 「俺も、入社して半年経った最近まで、気づかなかったんだよ。」

 俺は、亜紀にそう言いながら鍵を手渡し、「変な勘繰りするのはやめろよ。」と、捨て台詞を残して玄関ドアを出て行った。
 すると、後ろから「いってらっしゃい!」という声がし、振り返ると亜紀が子供と一緒に手を振っているではないか。

 「──気をつけてね!帰る前に電話しなさいよ。晩ごはん作って待ってるから。」

 背中越しの亜紀の声に右手を上げて応え、アパートを後にした。

 「それにしても……。」

 先ず、あの和巳と言う子供の事が、重要且つ最優先で考えるべき事項にのは、間違いない。

 (──しかし、あのシチュエーションは、卑怯だよな。)

 満面の笑みの亜紀に、その傍らで息子が俺に手を振って見送る姿。あんな光景を目の当たりにしたら、男なら誰だって結婚して家庭を持ちたいと、強く望むに決まってる。

 ──覚悟を決めて、すべてを捨てれるの?

 あの言葉に偽りなく、本当に俺の子供なのか?
 確かに計算上は合っている。が、亜紀は俺のせいで子供を産めない身体になっていた筈で、子供を授からない為に夫婦の精神的重荷が増していき、結果として離婚に至ったのだから。

 (それが、突然、治ったりするだろうか?)

 そういう事も、有りうるかも知れない。過去の不妊検査が、間違いだった可能性だってある。

 (それに、あの子供の仏頂面は、俺に似てなくもなかったしな。)

 和巳なんて名を付けたのも、亜紀の想いが込められての事だと理解出来る。だとしたら、何故、今まで俺に何も告げず、今頃になって明かしたのだろう。

 「すべてを、捨てる覚悟か……。」

 もし、和巳が俺の子供だとして、どうなるのか?
 子供には父親が必要だからと、俺と亜紀が一緒に暮らすとして、この件を親父やお袋に伝えずに済むだろうか?おそらく済まない筈だ。
 いずれ、俺達の関係は明るみになる。そうなった場合、両親だけに止まらず、親類縁者との繋がりも断たないと、親父やお袋の立つ瀬がないと思う。

 「それだけなら、未だ、いいが──。」

 姉と弟で、正式な婚姻なんて叶うべくもない。だから、扱いとして俺は内縁の夫となる筈だ。
 慣例に当て嵌めると、和巳は、非嫡出子扱いとなって亜紀の戸籍へと入り、父親は空欄扱いとなるだろう。
 一緒に暮らせば、父親として俺と接するようになるだろうが、やがて戸籍を必要とする年齢に成長した時、自分の出生について疑問を持つと思う。

 (──問題は和巳が、事実を受け止められるかどうかだが……。)

 ──近親相姦が、どれだけの犠牲を伴う行為なのか、お前はちゃんと理解していたのか?

 亜紀は、この事実を伝えたいが為に早朝にも拘わらず、俺の前に現れたのだ。
 そもそも、性行為について学ぶより早く、自分の異常な性的欲求を満たしたいが為に亜紀とセックスし、それを愛だと勘違いしていた。
 亜紀も最初はそうだったのかも知れない。が、堕胎を切っ掛けとして事の重大さに気づき、自ら関係を断とうとした。

 (──なのに俺は何度も迫り続け、結局、関係は再開されてしまった……。)

 忌まわしき関係の末に、和巳は生まれた。


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