B-13
「──ねえ。本当にこれきりだからね。」
ある初春の午後──。高校をスポーツ推薦で合格した俺に、亜紀が「合格祝いに何が欲しい?」と、訊ねてきた。
そう訊かれて俺の心は、「姉さんと、もう一度セックスがしたい。」思いでいっぱいだった。
二年半前の雷雨の夜。俺は初めて、愛する亜紀の腟内の奥まで熱く反り勃ったペ○スを挿れ、翌日まで何度も々も射精した。
でも、あの日以来、俺がどんなに頼んでも、亜紀は二度とセックスをしてくれなかった。
だからこそ、お祝いにという特別なものとして、あの日みたいに亜紀と一つになりたかったし、どうせなら今までにない、初めての体験をしたかった。
「姉さん。先日言ってた、合格祝いの件だけどさ……。」
明日は、中学校の卒業式という夜。俺は亜紀の部屋を訪れると、思い切って願いを訴えた。
「なに?あまり高い物は無理だけど、何でも言ってごらん。」
「じゃあさ……。あの、俺とラブホテルに行ってよ。」
途端に、亜紀の顔色は見る々、悲しげに変化していった。
「あんた。未だ、そんな事を……。もうダメって言ったじゃない。私達、姉弟なんだよ。」
予想した通り、亜紀は悲しそうな表情で拒んで来た。が、諦め切れない俺は、強くせがんだ。
「あの日以来、夢にまで姉さんが現れて、俺を悩ませるんだ。何度もオ○ニーでごまかそうとしたけと、姉さんとのセックスを知ったら、全然、気持ちよく無いんだ。」
「だったら、尚更ダメじゃない。あんな事を続けてたら、あんたも私もおかしくなる。もう諦めてよ。」
俺は強い気持ちで訴え掛ける。気づけば両手が亜紀の両腕を掴み、身体を壁に押し付けていた。
「だったら、なんであの夜、俺のベッドに入って来てセックスしたんだよ!?こんな目に遇うくらいなら、しなきゃ良かったんだ。」
亜紀は、困ったような、悲しいような複雑な顔で俯いたまま、黙ってしまった。
俺は、自分が卑怯な手を使っていると知りながらも、更に責め立てた。
「──姉さん。これっきりでいいんだ。これ一回で全部忘れるから、一緒に行ってよ。」
俺は、そう言って亜紀の反応を窺う。しばらく俯き、腕組みをして考え込んでいた亜紀が、顔を上げて俺を見て、徐に口を開いた。
「じゃあ……。これっきり、これっきりよ。」
そうして、卒業式の翌日、世間的に見れば平日の昼間、俺と亜紀は街に出掛けると言って、記念すべき人生初のラブホテルに入った。
「──判ってるって。亜紀、胸がおっきくなってる。あの時は、掌に収まる位しか無かったのに。」
入って早々、初めてという興奮も手伝ってか、既に、我慢出来ない状態だった俺は、亜紀を後ろから抱きしめ、服の上から胸を揉みしだく。
「当たり前じゃない。だいたい……。うん……。あんた……。な、生意気よ。姉の私を呼び捨てにするなんて。」
「いいじゃない。今は、姉弟じゃなくても。」
「んっ……。判ったわよ。今日だけ亜紀って呼んでも。それより、うんっ!……先にシャワー浴びようよ。」
「時間がもったいないから後にしようよ。それに、俺、亜紀の匂いが好きなんだ。」
そう言って俺は、亜紀の首筋に舌を這わせた。