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妙子
【その他 官能小説】

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妙子-23

 「お前店には服は1つも置いて無いのか?」
 「あるよ。何で?」
 「もっとおっぱいの出る服は無いのか?」
 「この間の服ならあるけど」
 「この間のって?」
 「すき焼きの材料買いに行った時着てた服」
 「あれは店では着ないと言ってたんじゃないのか?」
 「クリーニングが出来たから店に来る前に取ってきただけ」
 「なるほど。それは丁度良かった。そいつに着替えて来い」
 「今?」
 「そう」
 「しょうがないなあ」
 「俺が店に来た時くらいしか着る機会が無いんだろ?」
 「まあそうだけど」

 「あれ? 誰かと会うんじゃなかったの? 此処で会うの?」
 「ああ。此処で会う」
 「いらっしゃいませ。あっ」
 「何が、あだ」
 「いえ、良くいらっしゃいました」
 「それは妙な挨拶だな。此処で会ったが100年目っていう意味なのか?」
 「いえいえ、とんでもありません。早速全部キャンセルしてお好きなだけ唄を聴かせて頂きますから」
 「いや、いいんだ。今日はちょっと用があって来た」
 「は?」
 「山瀬を呼べ」
 「はあ?」
 「お客が騒いでるから来てくれって言うんだ」
 「あのー、お名前は何とおっしゃいましたっけ」
 「俺の名前なんか言わないでいい。久しぶりに奴と一緒に飲みたくなったから驚かしてやりたいんだ。俺とあいつが仲良しなのは知ってんだろ?」
 「はあ」
 「それじゃ呼びなさい。電話したら俺の席に来て一緒に付き合え」
 「はあ」
 
 「山瀬はいたか?」
 「はい」
 「客が騒いでいると言っただろうな」
 「はい」
 「余計なことは言わなかっただろうな」
 「はい、言ってません」
 「そうか。あいつ腕に自信があるからトラブルっていうと自分でひょこひょこ来るんだけど、あれでも高木組の代貸しやってんの知ってるか?」
 「はあ、存じてます」
 「そうか。そうだな、あいつが自分で言わない訳無いもんな」
 「はあ」
 「ほれ、来た」
 「また小野塚さんですかー」
 「おう、座れ」
 「手前、何だってあんな電話すんだよ」
 「いやまあ座れ。俺がそういう風に電話してくれって頼んだんだ」
 「組員の前であんなことさせといて、その上まだ何かあるんですか? あれじゃ足りないって言うんですか?」
 「いや。例の空手使いはどうなった」
 「12針縫い合わせてもう退院しましたよ」
 「そうだろ。ちょこっと脂肪を切ってやっただけで、内蔵までは届かないように加減してやったからな」
 「本当ですか?」
 「偶然だと思ってるのか?」
 「いえ」
 「それでな。いくら乱暴な奴でも声も掛けずにいきなり後ろから斬りつけるっていうのはそれなりの理由があるんだと思うんだ。そうだろ?」
 「さあ。私は知りませんよ。奴に聞いて下さい」
 「誰か俺に恨みのある奴が自分より腕の立つ阿呆をけしかけて俺を襲わせたんだと思うんだ。俺はそう思ってる」
 「それは考え過ぎでしょ。あいつはちょっと気が荒いし酔ってでもいたんでしょ」
 「それで俺がお前の事務所に乗り込んだのは何しに行ったんだと思う?」
 「さあ。組員の不始末だからでしょ?」
 「そうそう。その不始末の落とし前を付けに行ったんだ」
 「だから私が組員の前で土下座して謝ったじゃないですか」


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