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「史乃」〜それから〜
【父娘相姦 官能小説】

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第二話-5

 午後九時半──。遅い夕食を終えた寿明に合わせるように、史乃は入浴を終えてリビングに戻って来た。

 「お風呂上がったよ。」

 寿明に風呂に入るよう促すが、なかなか腰を上げようとしない。

 「朝、入ったから、今日はもういいだろう。」

 入ろうとしない寿明を、史乃は一喝する。

 「だめよ!筋肉痛が未だ、残ったままでしょう。朝ザボった分、ちゃんとやらなきゃ。」
 「やれやれ。判ったよ。」

 史乃の言う通り、未だ、身体のあちこちに痛みが残ったままなのは確かである。
 それに、来週から出版社で次回作の打ち合わせがある事を考えると、せめて身体を痛みのない状態にしておきたかった。

 「ふう。やっぱり、ずいぶんと楽になった気分だ。」

 本日、二回目の風呂に浸かり、身体をほぐしていく。たった半日しか経っていないが、筋肉痛がかなり軽減された事に驚きつつ、改めて娘のおかげだと感心した。

 「それにしても、あの口調……。出逢った頃の綾乃そっくりだ。」

 寿明の脳裡に、綾乃と出逢った大学の頃が映し出される。あの頃の寿明は尊大で、大学に入ったが世の中を斜めに見る傾向があり、おかしな連中とつるむ事が多く、勉強に身が入らなかった。
 そんな時に綾乃と出逢った──。ある日の午後、大学には来たが授業に出る気になれなかった寿明が、帰ろうとしたところ。

 「だめよ!真田君。また逃げる気!?」

 いきなり、凄い剣幕で寿明に意見してきた。

 「──何時まで、子供みたいに拗ねてるの?そんなの格好悪いだけよ。」

 寿明は一瞬、怯んだが、すぐに怒りに任せて反論した。

 「なんで、あんたにそこまで言われなきゃならないんだよ!?」

 出逢いは最悪。でも、その言葉が妙に印象的だった。

 「なんでって、貴方の目が助けを求めてたから──。」

 結局、それがきっかけで綾乃と親しくなり、おかしな連中とつるむのを辞め、真面目な大学生になった。
 そして、同棲生活を数年経た後、籍を入れた訳だが、サラリーマン生活を辞めて作家としての活動をスタートさせた途端、綾乃が離婚話を切り出した。

 (後にして思えば、あれは彼女なりの非情の情だったな。)

 作家として活動するのと、作家として成功するのは次元が違う。どんなに努力して綴った作品でも、売れなければ紙グズ同然、作家としての生命も断たれてしまう。
 彼女はそう考え、自分と史乃が重荷になると結論付けて、別れを告げたのだ。
 そうでなければ、慰謝料も養育費も無し。娘の史乃が成人するまで会わないなんて条件を、出す筈がない。

 (あと二年……。たった二年で、再会出来たのに。あんなかたちで会う事になるとは。)

 多くの者に支えられて、ようやく作家として名を知られる程度になれた。が、その最も世話を掛けた最愛の人と永遠の別れになった事は、寿明としては慚愧に堪えない思いだった。
 そんな、溢れる様々な思いに馳せるのを、邪魔する大きな声が響いた。


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