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人生最後と最初のオナニー
【性転換/フタナリ 官能小説】

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人生最初のオナニー-1

……なんだか頭がボーッとする。 

前の日に体が動かなくなるまで運動した次の日のような、もしくは酷い風邪を引いてしまったときのような、そんな倦怠感。

身体に力が入らなくて、仰向けのまま白い天井を仰ぎ見ている。

ぼくの身体をベッドが柔らかく包み込んで、肌に触れる絹のような感触が気持ち良くて、このまままた夢の世界に行ってしまいたいと思った。

……そういえば、変な夢を見たな。見たというか、感じたと言うか。

目の前が真っ白なモヤのような光で何も見えない。

ぼくはそこで宙に浮かんでいるように感じた。

身体になにか温かいモノが触れる。それも一カ所だけじゃなくて、全身の至る所に。

宇宙人か得体の知れない何かに全身をくまなく調べられているような、でも不思議とそれが嫌だと感じなかった。

胸が締め付けられるような、嬉しさと悲しさと懐かしさが混ざり合った複雑な気持ち。

ぼくに触れるそれから温かい何かを出していた。

それが液体なのか気体なのか、はっきりと解らなかったけど、それはぼくを包んで、ゆっくりと身体の中に染み込んでいく。

自然とぼくは身体を丸めていた。

気持ちよかった。穏やかな、心が落ち着くまったりとした、そんな懐かしい感覚。

……そうだ。ほんの微かに僕の身体が覚えている記憶だ。

もう頭の中では、その記憶は掠れきったビデオテープのように再生出来ないけど、確かに存在したぼくの最初の記憶だ。

ぼくがその気持ちに身をゆだねていると、急に切なく悲しくなってくる。

もう終わりなんだ、と直感で理解した。

そして、ぼくの目の前で光が弾けた。

その瞬間、耳に赤ちゃんの鳴き声を聴いた。


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