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人生最後と最初のオナニー
【性転換/フタナリ 官能小説】

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人生最後のオナニー-1

意外と近くにあるんだ。僕は目の前の建物を眺めてそう呟いた。

真っ白な壁の、教会のようにも病院にも見えるような、だけどここはそのどちらでもない。

門のチャイムを押すと、キンコーンという大きな音が鳴る。僕は思わず脚を二、三度足踏みしてしまった。

別に逃げることはない。事前に予約をしていたんだから。

暫く待っていると、扉が少し開いて、そこから少女が顔を覗かせた。

「……予約の方?」

鈴の音のような可愛い声でそう言った後、僕の返答を待たずにそのまま扉を大きく開け放って僕を迎え入れる。

白いワンピースの少女の背後は真っ暗でなにも見えなかった。

そのまま後ろを向いて逃げだしたい気持ちにもなったけど、それ以上にこれからしてもらえるかもしれない事が僕の背中を支え続ける。

僕は女の子になりたかった。

そこには何の病気も疾患も何もない。ただ、女の子になりたいという願いだけがあった。

そのせいもあって、よく女装をして街へ出かけていた。

これが意外と知り合いにもバレないし、周りの人もちゃんと女性として見てもらえたのが快感だった。

だけどふとしたきっかけ、トイレに入ったときなんかに自分の身体や股間にぶら下がる大きめのペニスを見てしまうと、一瞬で現実に戻されてしまう。

身体も女の子になりたい。

だけど僕は性転換の手術が怖かった。全身麻酔させられて、その間に自分の身体をあちこちといじられることが想像するだけでゾッとする。

半ば諦めていたそのとき、ネットでこの場所を見つけた。

ここは医療研究所の一つみたいで、今は新しい性転換の方法を研究しているようだ。

僕はそこに載っていた文章を見て、この治験に飛びついたわけだけど、いまだにそれが信じられない。

蛍光灯が点々とあるだけの薄暗い研究所を、僕の胸ほどまでの背丈の少女は、腰を位置を超える長い黄金色の髪を揺らして僕を先導している。

「あの……聞いてもいいですか?」

彼女は全く僕の声を気にせずに歩き続ける。

「ホントに手術しないで、眠るだけで女の子になれるんですか?」

それに彼女は即答せず、しばらく進んで僕の方をチラッと見た。

「……概ねそう。……装置に入って眠るだけ」

素っ気なくそう答える。やっぱりただ眠るだけじゃないのか。分かってはいたから別にガッカリはしていない。

そうしている内に、少女が急に立ち止まる。奥には銀色に光る金属の扉があった。

「……着いた」

そう言って女の子が横にある機械に手をかざすと、一瞬ランプが点灯したかと思うと、金属の扉が左右に開いていく。

扉の奥は左右上下一面が真っ白な部屋に、白い明かりで全体が照らされていて、その真ん中に大きい卵のような機械が鎮座していた。

少女が部屋の中に入って、僕も釣られるように足を進める。

彼女があの卵型の機械に近づいて、いくつかのボタンを押す。

「……これはEGG。……私が研究している性転換装置」

そう言うと、卵の殻が白く曇ったような玉虫色に光って、白い煙を吹き出しながら卵が上へと開く。 

僕は彼女に呼ばれてその卵に近づいて中をのぞき込んでみた。

思ったより中は広そうで、白いクッションが柔らかそうに見えて、白いベッドのように見えた。

「これに、入るんですか?」

彼女はこくんと頷いた。そしてすぐ後に、

「……まずは身体を綺麗にして」

そう言って、横の扉に指をさす。

僕は言われるがままに扉に入ると、そこは籠と棚とタオルが置かれた脱衣所になっていた。

僕は着ている物を全て脱いで、それらを籠に入れる。そしてさらに奥にあるドアを開けて入った瞬間、僕は唖然となった。

そこはシャワー室で、栓とシャワーと後ろのドアの取っ手以外の全面が鏡張りになっていた。

前を向いても、横を向いても、上を見ても、下を見ても、常に僕の裸が僕の目に入った。

僕はさっさと身体を洗ってここから出て行こうと思ってシャワーの栓をひねった。

ちょうど気持ちいいぐらいの温かいお湯を浴びていると、心の中で沸々と不思議な感情が芽生えはじめた。

鏡越しに観る僕の顔。

幅広い肩と胸と背中、剃った毛が伸びてきて黒いブツブツが見える腕と脚、毛先が荒れてボサボサとなった肩まで伸びた髪、堅い印象を持つ尻、そしてダラリと垂れ下がる人並み以上に大きいペニス。

今日でこれらの殆どと別れることなると、不思議と名残惜しく感じ始めてしまった。

そのせいもあって、僕は自分の身体と別れを告げるように、時間をかけて念入りに身体を洗った。


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