第一話-1
第一章
願い
「いや……。あっ。」
史乃は、その艶やかな肢体をくねらせながら、目くるめく快感に喘いでいた。
「いやらしい……。娘だな、史乃は……。こんなに濡らして。」
「こんなに……。あっ……。こんな娘にしたの……。んっ!……。お父さんじゃ……。」
寿明の愛撫によって齎(もたら)される快感が史乃の理性を蕩かし、光も届かぬ海底へと沈んで行くように、思考することさえ儘ならない。
やがて、史乃の下腹部に情欲の焔が点り、次第に全身へと広がって行くと、彼女は聡明な少女から“悦楽を欲するメス”へと変貌した。
「お父さん……。今度は、私が……。」
史乃は、吐息まじりの声でそう囁くと、這うようにして寿明から背を向けて跨がり、ゆっくり股関へと顔を近付けた。
寿明の陰茎は既に熱り勃ち、その鈴口は先汁で溢れていた。
史乃は躊躇うことなく口に咥え込む。僅かな塩味と鼻腔を通して生臭さを感じた。
「ふう……。んっ」
たっぷり唾液を乗せた舌先で、亀頭の形に沿ってゆっくりと、そして執拗に舐め回した後、上体を前後させながら口をすぼませ、舌と上顎、そして喉奥の粘膜を用い、陰茎を刺激していく。
「ああ……。史乃。」
娘の拙く、ぎこちない奉仕は、何処かかいがいしくもあり、寿明の心を昂らせるには十分だった。
寿明の鼻先に見る娘の秘裂は、早くも白濁した愛液が溢れて滴り落ち、“欲情したオス”を惹き付ける、酸味掛かった甘い臭いを発散していた。
「ふうっ!くうっ。」
寿明は、史乃の秘裂を両手で開くと、舌先を尖らせ、花弁の奥へとこじ入れた。
途端に泣くような矯声を挙げて身悶える史乃。
熱を帯びて敏感になった花弁や肉芽を、父親の舌が這いずり、掻き回し、溢れ出る愛液を啜り飲む。快感が背中から脳天へと突き抜け、声を抑えたくても抑え切れない。史乃は苦悶に顔歪がめ、矯声を挙げていた。
「お、お父さん……。あっ!……。もう、いいでしょう。」
寿明の執拗な責めに史乃は乱れに乱れ、最早、絶頂を迎えるまで幾らと掛からない程、昂りが増していた。
史乃は喘ぎながら身を起こすと、今度は寿明と正対して跨がり、熱く反り立つ陰茎に手を添えて、自らの花弁へと導いた。
「ねえ、いいでしょう。挿れても……。」
「史乃……。おまえ。」
「もう、我慢出来ないの。」
懇願する史乃。その眼差しは妖艶さを湛え、淫乱女のような変貌ぶりで、下から見つめる寿明を困惑させた。
「ふう……。んっ……。んんっ!」
史乃は、ゆっくりと腰を沈めていった。
何人も触れたことのない雪原の無垢に初めて踏み込むように、度外に腫れた陰茎が史乃の閉じた肉壁を割き分けて、押し広げていく。
口唇を噤んで眉根を寄せる史乃。想いが成就し、肌を重ねた筈なのに、その表情は何処か切なげで有り、哀愁を感じさせるものだった。
「ふっ……。ううっ……。うっ。」
次第に動きが速くなる。寿明が腰を突き上げ、揺れる豊満な乳房を責めようとした時、史乃の口から矯声とは別の声が漏れた。
「どうしたんだ?……。史乃、何で泣いているんだ。」
仄暗い明かりの中、史乃の瞳は濡れていた。
「わからないの……。お父さんとこうなれて嬉しい筈なのに……。」
父親と娘の性交──。世間から、理解される筈もない忌まわしき関係。
交際や同棲、そして結婚と、愛しい人と一緒になる事で、大抵は肉親や友人、知人等から祝福を得られるものなのに、史乃と寿明の関係は、原則、誰かに告げることさえ許されることなく、ひた隠しにして生きて行かねばならない。
そう思うと、史乃の心は悲しみに溢れた──。