文香-4
「このままノーパンで出かけるの?」
「そう。ノーパン、ノーブラ」
「え?」
「お前耳が悪いの? それとも頭が悪いの?」
「あー、困ったな」
「あそうか。耳と頭と両方悪いんだ」
「私乳房が大きいからブラをしないと少し垂れるんだけど、おかしくないかな?」
「だから垂れないような服買ってやるから」
「これを試着してみろ」
「これ?」
「そうだ、これ」
「これ着るの?」
「試着っていうのは着ることを言うんだ」
「でもこれ小さいんじゃないかな」
「ほら、ビヨーンて伸びるだろ。こういう生地だから象でも着れるんだ」
「でもこれ裸みたいに見えると思うよ」
「何で裸なんだよ。ちゃんと服になってるだろ」
「だって凄い短いし、背中が無いもん」
「あるだろ。ほら、このヒモが背中だ」
「だから」
「ゴチャゴチャ言うとパンツ買ってやらないぞ」
「パンツ穿かないと見えちゃう」
「そうだろ。だからパンツ穿きたかったら早く試着しろ」
「ねえ、これ、こんなだよ」
「後ろ向いてみな」
「お尻見えない?」
「デカイケツだな。これはTバックでないと駄目だな」
「ねえ、見えてる?」
「ケツの穴の周りの毛が見えてる」
「嘘」
「嘘だよ。見えてないから安心しろ。ほら出てこい」
「これで出ていくの?」
「いつまで試着室に入ってんだよ。待ってる人がいるだろ」
「恥ずかしい」
「いいじゃないか、いいじゃないか。このおっぱいの偉大なこと。お前は顔なんか要らないな」
「どうして?」
「このおっぱいに目が行って誰もお前の顔なんか見ない」
「だから目立ち過ぎるって言ったじゃない」
「此処で下着を買ってやろう」
「可愛いのにしてね」
「そのケツに可愛いパンツなんか似合うか。これにしろ」
「これ?」
「あのなあ、俺が選んだらいちいち不服そうな言い方するなよ」
「だってこれストリッパーが穿くみたい」
「お前ストリップなんて見たことあんのかよ」
「ビデオで見た映画に出てきた」
「それじゃトイレで穿いて来い。厭なら穿かなくてもいいんだぞ。その代わり時々ケツまくってやるからノーパンのケツを人に見られることになるけどな」
「厭だ。穿いてくる」
「そうだろ。そんなんでも無いよりはいいだろ。穿いてもケツをまくるんだけどな」
「え?」
「こっちの話だ。どれ後ろ向いてみな」
「こう?」
「ちょっとかがんでみな」
「こう?」
「おお、いいじゃないか。よし、メシでも食いに行こう」
「この格好で?」
「厭なら脱いでもいいんだぞ」
「着替えてもいいの?」
「誰が着替えていいと言った。厭なら裸でもいいって言ったんだ」
「それじゃ、これ着てる」