木花の母-3
寺井は言葉を失った・・・
何て言ってあげればいいのか?
『お母さん、木花ちゃんは元気ですよ・・・しかし彼女は、あの男と戦おうとしています、お願いです・・・木花ちゃんを救ってください‼』
寺井は自らの頭を畳につけた。
そして、佐知子は・・・
『寺井刑事、私を札幌に連れてってください、私・・・今話した事を話します・・・そして、あの子に会いたい!』
寺井は佐知子の手を強く握り、大きく頭を縦にふった。何度も何度も・・・
次の日の朝に佐知子を連れ札幌に戻る事になり、寺井は近くの旅館に一泊する事になった。しかし、寺井の中でまだジックリいかない事、それは木乃舞博士の研究の詳細を誰が外に洩らしたのか?
『木乃舞博士の事をよく知る人物・・・それかスパイがいた?』
そして何気に木花の家族写真を見てると・・・
『ん?・・・この写真妙だ・・・木花ちゃんは本当にこの2人から授かった子なのか?・・・よく見たら全然似てない・・・俺の気のせいか?』
布団に入り、目をつむった瞬間・・・
『・・・ヤバイ!先輩に連絡しよう!』
石黒は、ここ数日捜査本部に寝泊まりしてる状態だった。ソファーに横になってると寺井から着信がはいった。
『はい、石黒・・・あぁ寺井お疲れ、どうしたの?』
「すいません、お休み中に・・・先輩・・・実は・・・」
『!?本当なのそれ!?・・・マズイわねたしかに・・・』
「木花ちゃんの家族写真を写メで送ります、3人の顔をよく見比べてください」
送られてきた写メをジッと見つめる石黒・・・
『・・・なるほど、そういう事か・・・この事件の真相が見えてきたわ』
翌日・・・
佐知子のアパートに着いた寺井は、インターホンを鳴らすが佐知子は出てこない
『佐知子さぁん、僕ですよ寺井です』
もう一度インターホンを鳴らす・・・
ドアを何度もノックする・・・
佐知子は出てこない・・・
ドアノブをいじると・・・
『あっ鍵がかかってない・・・佐知子さ・・・』
ドアを開けた瞬間、爆発と共にドアと一緒に寺井は吹き飛ばされた・・・
『ク・・・クッソォ・・・やられた・・・先輩、スイマセン・・・』
寺井はその場で気を失った。
そして、すでに佐知子の姿はこの町にはなかった・・・