満里子-7
「あー、すっきりした」
「拭かないのか」
「だってもう2度目だもの」
「そうだな。今更何しても遅いな」
「やっぱりこれは実用的ではないわ」
「股の所だけ穴を開けておいたらどうかな」
「そういうのもあるのよ。もともと穴があいている奴が」
「ほう。やっぱりトイレのことを考えている訳だな」
「うん。だけどそれだけじゃないと思う」
「それだけじゃないって?」
「あれはきっとタイツを着たままセックスする為に開けてあるのだと思う」
「なるほど。穴あきパンティと同じだな」
「そう。そういうの好き?」
「特別好きということも無いな。面白そうは面白そうだけど」
「優ちゃんはどんな下着が好き?」
「小さくてぴったりしている奴」
「それじゃこれからそういうのにしよう」
「大体そんなのばかりじゃないか」
「だからもっと小さくてもっとぴったりした奴」
「ああ、それはいいな」
「他には?」
「何が?」
「他にリクエストは無い?」
「特別無いな」
「そう? それじゃいつでも希望があれば言ってくれればその通りにするから」
「ほう。どういう風の吹き回しなんだ」
「何が?」
「下着にしろ何にしろ、満里子は自分の好みがうるさいんだろ? 僕の好みに合わせるって言うの?」
「うん。下着は好みに合わせて上げる」
「まあ、それじゃ生理でない時はTバックにして貰おうか」
「いいわよ。Tバックなら私も好きだから」
「ああ」
「あのね、その代わり優ちゃんも私が選んだ服を文句言わずに着るのよ」
「今までだってそうしてるじゃないか」
「ううん。今度は下着も私の好みで選ぶから」
「何か変わった下着?」
「そう」
「余り変なのは厭だな」
「変なのじゃない」
「変なのじゃなければ何でもいい」
「私の下着を一緒に穿くの」
「え?」
「下着は私と共通にするの」
「そうはいかないだろ。男と女では体の形が違う」
「違ってもいいの」
「無理さ。男には膨らみがある」
「無理じゃないわよ」
「いや、穿けるのは穿けるだろうけど、ぶらぶらして駄目さ」
「伸びる生地のならいいじゃない」
「そんなの持ってないじゃないか」
「あるわよ。それにこれからはそういうのばかり買う」
「別にその為にわざわざそうすることも無いさ」
「ううん、駄目。伸びない生地のでもその上からガードル穿けばいい。そうすればぶらぶらしない」
「それはそうだけど何で?」
「何が?」
「何で下着を共通にしたいの?」
「優ちゃんは痩せてるから女性用の下着が似合う。絶対に」
「似合わないよ」
「いいえ、似合う」
「おかしいさ」
「おかしくてもいいの」
「それじゃ理屈が通らないじゃないか。似合うから着せたいって言ったんだろう?」
「いいの、優ちゃんが似合わないと言っても私は似合うと思うんだから。私の下着をこれからは穿きなさい」
「まあ下着なんか人に見せるものではないから、どうしてもって言うんならそうするけど」
「そうよ。人に見せるもんじゃないんだから」
「そんなの穿かせれば浮気をしないとでも思ってるんだろう?」
「私の下着を穿いていても浮気をする?」
「いや、そんなことをしなくても浮気なんかしない」
「駄目、駄目。浮気防止じゃないんだから。私の美意識でそうするんだから」
「理解出来ない美意識だな」
「理解出来なくてもいいの。私は変わってるんだから」
「変わってるのは確かだ」
「私が変態で嬉しいと言ったじゃない」
「まあ変態という程だとは思わないな」
「今に思うから」
「それはそうさ。僕と付き合っていれば段々変態的になっていく」