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満里子
【フェチ/マニア 官能小説】

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満里子-18

 「ねえ、それでどうするの?」
 「何が?」
 「だから離婚よ」
 「それは向こうが考えを変えてくれるまでどうしようも無い」
 「何で? 裁判すればいいじゃない。優ちゃん弁護士なんでしょ?」
 「裁判したって無駄さ」
 「何でよ」
 「何でも裁判すれば思い通りになるって訳じゃない。裁判は負けることもある」
 「そんなのやってみなければ分からないじゃない」
 「いや、この場合は100パーセント負ける」
 「どうして?」
 「有責配偶者からの離婚請求は認めないというのが判例なんだ」
 「何よそれ。私に分かる言葉で喋って頂戴。誤魔化そうなんてしないで」
 「別に誤魔化そうとしてる訳じゃない。自分の方から浮気しといてそっちの女と結婚したくなったから離婚してくれという身勝手な請求は認めないという意味さ」
 「そんなの黙ってれば分からないじゃない」
 「何が?」
 「だから私と結婚したいから離婚したくなったんだなんて言わなければいいじゃない」
 「馬鹿な。裁判は双方言い分をぶつけ合うんだ。こっちが黙っていたって向こうから言われれば直ぐバレる。僕は満里子との関係を秘密にしてはいないから、そのことを知ってる人は沢山いるんだ。満里子だってそれは知ってるだろう?」
 「何とかならないの?」
 「何ともならないな」

 いつもなら離婚の話になると満里子は納得行くまで矛を収めないし、どんな話をしようと現実に離婚するまでは納得する訳がないのだから延々と言い争うことになる。そして険悪な雰囲気となってしまうのだが、それは不倫の宿命である。しかしこの日は、ともかく戻ってきてくれたということに満足していたのか、案外すんなりと矛を収めてくれた。

 「今度は満里子にこれを穿かせてやる」
 「何を?」
 「オムツと貞操帯さ」
 「何で? 何で私が貞操帯なの?」
 「浮気するといけないから」
 「私が? そんなことする訳無いじゃない」
 「まあ浮気はともかく痴漢対策にはなるだろう」

 実は満里子はほんの数日前優輝と一緒に電車に乗っている時に痴漢にあった。何か些細なことで口論と言う程ではないが二人が角付き合って同じ車内にいるというのに互いにそっぽを向いている時だった。満里子は肌シャツのように薄い生地の黄色いスカートを穿いていた。それは本当はスカートではなく筒型のミニのワンピースなのである。スパンデックスが織り込んであって良く伸びるのだが、それを乳房の直ぐ上から股下まで包むように着るとボディコンのワンピースになるという仕掛けだった。ブティックの店頭に山積みされている服の中から見つけた僅か500円の服だった。掘り出し物を買ったと言って喜んでいたものの帰って着てみると生地が薄すぎて如何にも下着のように見え、とても外出着にはならない感じだった。透けて見える服の下に着たり、室内で着たりする以外にはないような服だった。だからこそ売れ残って500円になっていたのだろう。
しかしそれを満里子は腰まで下げてロングスカートにすれば外出着になると考え、白いタンクトップと組み合わせて着ていたのだった。確かにそうして着ると下着にしか見えなかった服が一応スカートらしく見えた。けれども尻の線が露わになってセクシーというよりエロティックそのものだった。満里子は下着の線が出るのを極端に嫌い、尻にフィットした服の時は大体いつもパンストだけで下着は穿かなかった。この時も勿論そうしていたからその尻を見ると男としてはどうしてもどんな下着を付けているのだろうという疑問に囚われてしまう。それがもう一歩進めば触ってみたくなる。つまり満里子のその時の服装は痴漢を誘うようなものだったと言っても良いのだが、案の定その尻を電車の中で誰かに撫でられたと言うのである。若いサラリーマン風の男で、気が付いたときには男は電車を降りていく瞬間でどうしようもなかったと言った。


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