ハツミ 〜3rd story〜-6
私は
『いいの、待って!!』
そう言って彼を制すと、ゆっくりと店を見渡す。
平日の昼時、一般的に客足は少ない時間帯の為か、店内には2人組の女性客がいるのみだった。
『昔から変わらず良いお店ね。ずっとこの場所には来ていなかったケド、大好きなお店よ。』
トモキは不思議そうな顔で私を見つめた。
『好きには色々な意味があるわ。このお店に対する好きは《お気に入り》。友達への好きには《友情》。私ね、あなたに対する好きの意味を考えてみたの。』
わたしはゆっくりと言った。
「答えは、出た??」
トモキが私に尋ねた。
『ええ。あなたへの好きは、間違い無く《恋》と《愛》だったわ。』
その言葉を聞いたトモキは私を強く抱きしめた。
「ハツミ、ありがとう。愛してる。」
そしてそれから1週間。
「これから行くレストランはさ!店の先輩達がおれの歓迎会開いてくれた場所なんだ!」『そうなの?楽しみ!』
今私とトモキには、左手の薬指にはめたお揃いの心地よい束縛がある。
―彼が私の隣にいてくれる事が、繋いだ手から伝わる彼の肌の暖かさを感じられる事が、とても自然でさも当たり前の事のように思える。―
でもそれは、私にとってこの上ない幸せなのだとトモキは感じるさせてくれる。
「ハツミにも気に入って貰えたら嬉しいな!」
『ふふっ、トモキと一緒ならどこでもお気に入りの場所になりそうよ。』
これからも私はトモキに精一杯の愛を贈ろう。
―トモキ、愛してる。―