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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-2

 「中田君。そんな悄然とした顔をするな。どんな雑誌だって雑誌作りの基本は同じなんだ。こういう雑誌は同じ事の繰り返しのようでいながらそこに新味を盛り込まなければいけないから、いろんなことを扱う他の雑誌より難しい。どうやってマンネリを回避するか、アイディアが要求される。その難しさは並大抵のもんじゃないぞ。此処で揉まれれば、どんな雑誌だって出来る。やり甲斐が有るぞ」
 「はあ」
 「赤尾君、何とか言ってやってくれ」
 「あのね、私も此処に配属された時はこの世の終わりみたいな気がしたわよ。だけどやってみるとこれが、なかなか面白いの。第1、仕事に好き嫌いなんか無いのよ。甘ったれちゃいけないわ」
 「はい」
 「総合情報の今の編集長の山中さんだって新入社員で入ってきた時は、此処に配属されたんだ」
 「そうですか」
 「そう。だから中田君も頑張って自分を磨きたまえ。いずれはやりたい仕事をやれるようになるから」
 「はい」
 「結局これが1番やりたい仕事だったって分かるかも知れないし」
 「そうよ。性というのを馬鹿にしてはいけないわよ」
 「別に馬鹿にしてはいません」
 「中田君は童貞かな? もしそうなら編集部員としていつでも童貞を捨てる機会はあるから楽しみにしていたまえ」
 「は? それはどういう意味ですか?」
 「ほら、此処を見たまえ。『編集部を訪ねたみゆき嬢』という記事があるだろう」
 「はあ」
 「そういう具合に毎号淫乱な女性読者を迎えての記事作りがあるんだ」
 「この写真に出てる人達は編集部の皆さんなんですか?」
 「まあ、そういうことになっている」
 「そういうことになっている?」
 「そういう設定で記事を作っているんだ。だけど実際に此処に映ってる男達は、同じく読者の中から募った連中さ。もう断りきれないくらいそんな連中が多いんだ。でもこの編集部には、女とやれるならどんな女でも喜んでやりますなんていうさもしい連中はいないよ。つまり応募してくる女にろくな女はおらんのさ。化粧したりライティングを工夫したり、撮影の角度だってある。みんなそういった涙ぐましい努力で結構かわいい女に見せているんだが、そういうのを抜きにしたら、やりたいなあと思わせてくれる女なんていない。全くいない。皆無。絶無。ナッシングアットアール。あんまり酷いご面相の時は、全頭マスクと言ってプロレスラーのかぶるようなマスクをかぶせちゃんだ。そうしても不自然ではないのがこの雑誌の有難いところだな。だから穴さえあれば喜んでという男性読者を募集してお任せしているのさ。でも、童貞だから1回参加してみたいって言うんなら、優先的に参加させてやるよ」
 「1回と言わず毎回だっていいさ」
 「はあ、これって本当にセックスしてるんですか?」
 「してるよ。良かったら無修正の写真を見せてやるよ」
 「結構です」
 「な? こういう余得もあるんだから」
 「あの、こういう余得は遠慮させて貰います」
 「ほう。まあ、只で出来るならどんなブスでもいいって言う男性読者はいくらでもいるから無理にとは言わないさ」
 「はあ」
 「でも1回くらい経験してもいいんじゃないの?」
 「いや、勘弁して下さい」
 「ま、それはいいけども取材して記事を作らにゃいかんのだから毎月君も参加することにはなるんだ、連中と一緒になって楽しむかどうかは別として。それは最低限覚悟して貰うよ」
 「はあ」
 「我慢出来なくなったら飛び入りで参加してもいいのよ」
 「あるいは逆にショックでインポになるかもな」
 「まあ、こういうの見て立つ方が正常なのか、びっくりして立たないのが正常なのか、難しい問題なんだよな、これが」
 「そんなの考えるに値しない愚問だ」
 「どうして?」
 「我々の雑誌は何が正常で何が異常なのかを考えることには意味がないという前提で作ってんだから」
 「なるほどそうだった」


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