ビッツコイン-1
部署に帰ったマギーは真っ先に中垣結衣の元へ行った。
「中垣さん、どうだった？ビッツコインの件。」
最近仕事に燃えているせいかメイクも必要最低限、髪型も後ろに束ねていると言う地味な姿を見せている結衣が振り向く。
「思っている以上に浸透してるわね。これ見て？現在城南市の中で支払いがビッツコイン可のお店。こんなにあるわ？」
結衣がファイルを開くと城南市においてビッツコインでの支払い可能な店舗のリストがズラリと並んでいた。
「え？マジ…？」
マギーは驚きを隠せない。
「あー、これ私の行きつけの服屋さんじゃん！いつも言ってるのにビッツコイン支払い出来るとか気づかなかったわ…。Yポイント使えるのは知ってたんだけど…」
正直この事件に関わるまでほぼ馴染みのなかったビッツコインが、自分らが暮す土地でこれほどまで浸透していた事に驚いた。
「私もビッツコインやってるけど、あまり気にしなかったからここまで浸透しているとは思わなかったわ…。」
結衣自身も同じであった。マギーは少し考えて華英に言った。
「確かビッツコインって銀行で買えるのよね。華英、ちょっと常磐銀行に行って状況を確認してきてくれる？」
「うん、分かった。」
華英はそのまま常磐銀行本店へ向かって行った。
「中垣さんには何か怪しい人物から接触はなかったの？？」
「うん。私にはなかったわ。私の場合自分でやろうと思って自分で始めたから。大儲けしようとは思ってなかったし。で、昼休みとかにみんなスマホ弄ってるでしょ？何気にチラッと見たらビッツコインの動き見てる子が結構いて、やってる人多いんだなーって。まぁ警察関係者に接触してくる犯人もいないと思うけど…」
結衣はそう言いかけて顎に手を置き何かを考えているような姿を見せた。
「けど…」
マギーがそう言うと結衣は自分が思っている事をマギーも考えている事を察した。
「裏をかいて誰かに接触してる可能性もあるね。」
マギーは頷いた。
「大きな事件を起こそうとしている犯人は必ず警察内に内通者を作ろうとしてきた。内通者じゃなくても情報源として身分を隠して接触してる可能性はあるよね。中垣さん、警察関係者の中で特にビッツコインに詳しい人、のめり込んでる人を調べられるかな？」
「うん。分かった。さりげなく当たってみる。」
「頼んだわ。」
マギーはそう言って席を立った。