樹理-7
「僕は女に金は使うが女に金を使わせたりはしないんだ」
「そんなのちっとも偉くない。女の世話になるくらいの度量があった方がいいのよ。その方が男らしいわ」
「そういうもんなのか? 世の中変わったのかな」
「女に借りを作りたくないなんていうのは駄目。沢山借りを作って雁字搦めになってみなさい。それで初めて本当に女を愛することが出来るんだから」
「そういうもんですかい。雁字搦めに縛るのは好きだけど縛られる趣味は無くてね」
「縛るの意味が違う。まあ、上がって」
「ほーう。結構いい所に住んでるな。クンクン」
「何してるの?」
「男の匂いがしないか嗅いでるんだ」
「する訳無いでしょ」
「何だか女の部屋らしくないな」
「どうして?」
「人形とか花とかそんなんで埋まってんのかと思った」
「10代の女の子じゃあるまいし」
「渋い色で統一してるな。これは何色って言うんだ?」
「シルバーグレイ」
「汚れが目立たなくて良さそうだな」
「そういう訳じゃないわ。落ち着いていてしかも明るいでしょ」
「そうだね」
「そこに座って。水割り作るから」
「おっ、これはスィングじゃないか」
「そうよ。貴方の好みは知ってるもん」
「まさか僕の為に用意していた訳じゃ無いよな」
「何がまさかなの。その通りよ」
「その通りとは?」
「いつか貴方が来ることになると思って用意しておいたのよ」
「ほひゃー、感激感激」
「感激するとうんち洩らす癖があるらしいなんて言わないでよね」
「そういう癖は無い」
「良かった。私着替えるわね」
「おっ、素っ裸になったな。男の目の前で」
「だってノーパン、ノーブラでパンストまで駄目にされちゃったんじゃない」
「そうだったな。ストリップ見ながら飲めるなんてこれは生きてた甲斐があるってもんだな」
「そんなに嬉しいんなら、このまま裸でいようか?」
「風邪ひいちゃうぞ」
「大丈夫よ」
「それじゃこっちに座れよ。厭だな、立ってきちゃったよ」
「別に厭がることは無いわよ。口でやって上げるから飲んでなさい」
「うへー、これは天国で酒飲んでるみたいなもんだな」
「白いのは出してもいいけど、おしっこは駄目よ」
「赤いのは?」
「赤いのって何?」
「血尿」
「馬鹿」
「うはー、気持ちいい。樹理も一緒に飲めよ・・・って訳にはいかないか。いやあ、これは男冥利に尽きるっていうもんだな」
「入れてもいいかしら?」
「は?」
「座ってもいい?」
「まあ、いいけど」
「そしたら一緒に飲めるでしょ」
「そうだな」
「ずっと此処に泊まっていったら? そうしたら毎日こういうことが出来るわよ」
「うーん。こういう誘惑には抵抗力が無いから困ったな」
「私のおしっこが好きなら顔からかけて上げてもいいよ」
「へ? 顔はいいよ。遠慮しとく」
「口開けてそこにうんちして欲しい?」
「それも遠慮しとく」
「やっぱり話だけね。そうだと思った」
「いやいや、そうでも無いけど、どうしようかな」
「何が?」
「本当に帰るのが億劫になってきた」
「だから此処に寝ればいいじゃないの。セミダブルだから十分寝れるわよ」
「一緒に?」
「当たり前でしょ」
「そうか。あんたはソファーに寝なさいなんて言うかと思った」