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樹理
【その他 官能小説】

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樹理-23

 「セーラー服が感じるの?」
 「いや、だからそういう人もいるっていう話し。好みが激しく別れる所なんだよ」
 「SMって言ってもただ乱暴すればいいっていうもんじゃ無いのね」
 「SMは乱暴とは違う。まあ本当のサディストは乱暴なんだろうけど、僕のはそういうのじゃない。大体縛るなんて相手の協力がなきゃ出来ないんだから乱暴とは違うさ」
 「そうね。でもそうすると縛られたりすると感じてしまいそう」
 「そりゃあそうさ。1度縛られてセックスすると普通のセックスなんて気の抜けたビールみたいになっちゃう」
 「やったことあるの?」
 「あるよ」
 「誰と?」
 「樹理の知らない女と」
 「その人とはどうしたの?」
 「だから縛っていろいろした」
 「違う。どうして別れたの?」
 「まあ、会うは別れの始めって言うからな」
 「又誤魔化す」
 「誤魔化してないさ。会わなければ別れることも無い。これは偉大な真実さ」
 「捨てたの? 捨てられたの?」
 「失礼な」
 「それじゃ捨てたのね」
 「それも失礼だ。女はゴミじゃ無いんだからポイと捨てたりするもんか」
 「捨てられもしない、捨てもしないで、どうして別れることになったのよ」
 「初めからセックスだけの付き合いだったんだ。セックスの付き合いというよりもSMプレイの付き合いだったんだ。で、その内段々お互いの好みが違うことが分かってきたから、自然に遠ざかった」
 「お互いの好みが違うって?」
 「僕は縛るのが好き、彼女は縛られるのが好きで、うまい具合だと思ってたんだが、SMっていうのは奥が深いんだな。同じ縛るのでもいろいろあるんだ。彼女は体中ぐるぐるに縛られるのが好きだったんだ。もう全然身動き出来ないというくらいにギュウギュウ縛られると興奮するんだそうだ。だけど僕は縛った時の姿が綺麗じゃないと厭だし、荷物縛るみたいにグルグル巻きにしたりはしたくないんだよ。僕は荷物縛る時だって綺麗に縛る方だし。それに僕は縛ってバイブ使ったり浣腸したりローソク垂らしたり、そういうことがしたいんだ。縛ること自体も楽しいけど縛るのはやっぱり飽くまでも手段なんだな。だけど縛られるのが好きだなんていう人は縛られることが目的なんだ。縛られるだけで満足してしまうんだよ。縛ったらゴロンと転がして放って置いて欲しいらしい。いろいろされると折角いい気持ちに縛られているのに気分が散っていけないというんだな。SMって奥が深いだろ」
 「本当ねえ。そんなもんなの?」
 「ああ。だから縛られるのが好きだなんていう女は却って駄目なんだ。縛られるなんて絶対厭だっていう女も駄目だし、厭だけどやりたいんならまあいいわっていうくらいが1番いい」
 「つまり私?」
 「そう、つまり樹理」
 「そうすると貴方とのセックスはいつもそんな風になるの?」
 「まあ、いつもでは無いけど大体そういう風になっていくな」
 「そんなことされないと感じない体になってしまったらどうしよう」
 「いいじゃないか、それで」
 「だって一生貴方が面倒見てくれるんならそれでもいいけど」
 「面倒見るって?」
 「あ、別に経済的な意味じゃないの。ずっと私と付き合ってくれるのかっていう意味」
 「それはまあ結婚すればずっとってことになるだろう。まさか期限を区切って結婚する訳にはいかない」
 「え? 結婚してくれるの?」
 「結婚したいんじゃ無かったのか?」
 「したいわよ、勿論。貴方が逃げてたんじゃないの」
 「別に逃げてはいないさ」
 「何で急に気が変わったの?」
 「急にじゃない。徐々にだ」


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