樹理-15
「いい匂いして来たな。カレーっていうのは食欲が無い時でも食べられるんだよな」
「食欲が無いの?」
「いや、あるよ。食欲と性欲は常にある」
「健康な証拠ね」
「これは何だ?」
「ヨーグルトでしょ」
「それは分かるけど、何でヨーグルトなんだ」
「あら、カレーとヨーグルトは合うのよ」
「ほーう」
「合うでしょ?」
「うん。舌がやけどしたらこれで冷やすんだな」
「そうじゃないわ。辛さが紛れるのよ」
「なるほど。寿司に付いてる生姜みたいなもんか」
「寿司に付いてる生姜って?」
「わさびが利き過ぎてどうしようも無いって時あれを口に入れると辛さが消えるんだ」
「そうだったの。それは知らなかった」
「確かにこれはレストランのカレーより美味いな」
「そうでしょう」
「変な物ばっか入れてるからどんな味になるかと思ってたけどまともな味だな」
「お砂糖なんか使ってないのよ。尤もルーには入ってるけど」
「ほう。でも随分甘さもあるけどね」
「リンゴを擦って入れたの」
「そんな物入れるのか」
「もっと甘いのが好きなら蜂蜜入れたりするのよ」
「蜂蜜入りのカレー?」
「そうよ。でも私は甘いのは苦手だから」
「樹理は甘くないからな」
「どういう意味」
「まあ冷たいと言うか」
「何で私が冷たいの」
「いや、外見の印象のこと」
「ああ、それはこんな顔してるからそう見られちゃうのよね」
「美人過ぎるんだ」
「愛嬌が無いでしょ?」
「いや、美人は愛嬌が無い方がいい」
「本当?」
「ああ、この冷たい女が僕には優しくしてくれるっていうのが何ともこたえられない」
「ふん。それなら私を貰ってくれればいいのに」
「よし、食べて一服したら貰ってやろう」
「そういう意味じゃ無いの」
「今日は樹理の新しい魅力を発見したから後ろからやろう」
「後ろでも横でもお好きにどうぞ」
「ご馳走様。美味しかったよ。僕がかたしてやろう」
「いいわよ。そんなの女の仕事」
「いや、女も男も無いさ。樹理が作ったから僕がかたす」
「そう? それじゃ頼んじゃおうかな」
「ああ、そっちでテレビでも見てろ。僕のケツ見て発情したりするんじゃないぞ」
「それって誘ってるの?」
「いや」
「男性のお尻見て発情するほど飢えてません」
「ズボンを脱がしてケツにキスしたりすんなよ」
「やって欲しいって言ってんじゃない」
「いや。まあ、どうしてもやりたいんなら我慢してやる」
「私着替えるから」
「何? このケツ見て何も感じないのか?」
「感じる。濡れて来ちゃった」
「そうだろ」
「もうビショビショ」
「何着てるんだよ。どうせ又直ぐ脱ぐんだろ」
「直ぐやる?」
「あー、ちょっと一服してからにするか」
「そうでしょ」
「それは下着なんだろ?」
「当たり前よ。こんな透けてる外出着がありますか」
「そうだよな。そんなの着たら一服出来ないな」
「それじゃ脱ぐ?」
「脱いだら余計いかんだろ」
「ちょっと買ってきた物整理するから」
「ああ」