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【推理 推理小説】

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Story〜夕焼けと2人の高校生〜-4

『カラァン』
「げ……ι」
喫茶店のドアを開けた人物を見て黄依が眉をひそめた。
「よー。黄依!相変わらず機嫌悪そうだな!」
稲荷 屡兎<とうか るう・男>は黄依の横に座った。
「……何で来たの?」
「何でって……黄依が俺に会いたいって泣いてるって里紅が言ったから。」
耳が隠れる程の長さはある、ストレートのサラサラヘアー(地毛)を掻き上げながら屡兎はにこやかに応えた。
「里紅?」
本日2回目の『恐怖の』笑顔である。
「い、いやぁ……だってそう言ったら絶対屡兎さん来てくれると思ったから。ですよねぇ、屡兎さん。」
「おぅ!その通〜り!黄依のためなら何処までだって駆け付け、うっ……!」
黄依の頭を『ガシガシ』と撫でていた屡兎の脇腹を、黄依が『ズドン』と音がなる程強く殴った。次業自得である。
「もしかして、稲荷さんのお兄さんってシスコンですか?朝月君。」
脇腹を殴られて瀕死状態の屡兎を尻目に、青治が里紅の耳元で聞いた。
「おう。そうだよ。」
「へぇ〜」
「あん?誰だお前?」
自分の前に座っているメガネ君を屡兎の鋭い眼光が捕えた。が、脇腹を殴られた後なので涙目になっている。
「あ、僕は朝月君の友達の八月一日と言います。よろしくお願いします。」
「ふーん。ま、いいや。それより里紅、本当は何の用だ?」
「あらま、ばれてましたか……。今日はこの前の事件について教えて貰おうと思って。」
「OK!いいぜ。」
屡兎は上着の左ポケットから警察手帳を取り出した。
「稲荷さんのお兄さんって警察なんですか。」
「あぁ、そうだよ。今は警部補をやってる。」
「んな事いいからさっさと話してよ。」
アイスコーヒーを飲み干した黄依が店員にお代わりを頼んだ。
「分かってるって。
えぇっと……。皆テレビとかは見てるだろうからまだ報道されてないとこだけでいいな。

先ずは一人目…って言うか……これは全員に言える事なんだが、額に数字が書かれていたんだ。」
「数字っすか?」
里紅が聞き返す。
「あぁ。1人目の額には『1』2人目の額には『2』そして3人目の額には『3』の数字が書かれていた。」
「殺された順ね。」
「多分な。」
「何で書かれていたんですか?」
青治はちょっと冷めた紅茶に口を付けた。
「マジックだよ。普通の油性マジック。」
「うーん……」
里紅が唸り声を上げる。「あ、そうだ、まだあるんだよ。この3人、同じ中学の同級生だったんだ。杜若<かきつばた>中学校って言うんだけど。八月一日なら分かるよな。」
屡兎は青治に目をやった。そこに疑問をもった里紅。
「何でそこで青治なんすか?」
「僕も同じ中学校出身だから……ですよね。」
「あぁ、そうだ。」
「え、そうなの?」
里紅は驚いた表情で青治を見ている。


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