to Heart〜LOVE SICK〜-1
――――――――ここは、どこだ?
確か俺、千優希や安部ちゃんたちと飲んでて……。
薄暗い室内を見回す―――明らかに俺の部屋じゃない、見覚えのある女の子チックなかわいい部屋………。
「………千優希の部屋だ………。」
―――どうやってきたんだ?まったく思い出せない。
……千優希を抱き締めてた感覚だけが残ってる。
夢―――じゃないんだよな?千優希が俺を好きだって言ってくれた。やっと通じた、俺の想い。
少し離れたベッドの上から、微かな千優希の寝息が聞こえる。近づいて、起こさないようにベッドの脇に腰をおろす。
無防備に寝るなよ、ばかやろう。
千優希の髪を撫でながら、抑えきれない気持ちがこみあげる。
ずっと俺のそばにいてくれ。
―――もう誰にも渡さない―――。
「ちょっと!ケンボー!起きてよっ!ケンボー!?」
千優希の怒った声で、俺は目を覚ました。
朝か?いや、外はまだ薄暗い。時計の針は5時を指している。
「なんでこんなとこで寝てるの!!」
千優希の寝顔見たまま、座った状態で寝ちまったらしい。
なんでって言われても……。どうして俺がここにいるのか、こっちが聞きたい。
ん?まさか、なんかしたとか疑ってるのか?いやいや、俺はまだなにもしてないぞ?
「そんなとこで寝て、風邪ひいたらどーすんの!こっちで寝ればいいでしょ!」
そう言って千優希は、くるっと背中を向けて、ベッドを半分空けてくれた。
背中越しに照れてるのがわかる。
………かわいすぎ。
「サンキュ。」
半分空けてもらったスペースに滑り込み、後ろから千優希を抱き締めた。
好きすぎて、どうにかなっちまいそうだ。
そんなこと言ったら、お前はさらっと『バカじゃないの?』って言うんだろうな……。
俺がどんな想いで今までいたか、お前は分かってないんだろ?
友達のラインからはみ出さないように、平静を装ってきた。
無駄な期待しないように、メールが来ても、俺のこと心配してくれたりしても、友達だからだって自分に言い聞かせて。
なにげなくお前が言ったことでも、すげぇ気になって。その反面、気付かれないよーに、普通に見えるようにがんばってたんだ。
でももう、気持ちを偽らなくてもいいんだ。