忘れ物-5
「それが君の選択。」
二人は頷き合った。
僕は立ち上がってローブを脱いだ。下着も引き下ろして足首から抜いた。
「おいで、友里。」
「ああ、先輩…。」
抱きしめた。柔らかく温かい友里の肌が吸い付くように腕の中にあった。
「悪い子だ。」
「言わないで。」
口付けた。舌を絡ませ、舐め合った。
パンティに手を掛け、一気に引き摺り下ろした。友里は少し身を固くしたが、抵抗しなかった。
濡れた髪を撫で、背中に手を這わせ、ベッドへといざなった。
「こんなに大きかったっけ。」
「あの時はまだ15ですよ?成長したんです。」
胸の膨らみの柔らかさを掌で確かめ、先端に唇を付けた。
「あ…。」
友里が小さな吐息を漏らした。
僕は友里と手を繋ぎ、十字架のように両手を広げた。友里はされるままだった。
唇を重ね合い、舌を絡ませ合い、互いの肌で互いの肌を確かめ合った。
唇を放すと僕は下へ下へとずり下がっていった。友里の胸を、腹を、舐めながら。
やがて黒い茂みへと辿り着いた。
「せ、先輩、何してるんですか、くすぐったいですよ。」
「ああ、気持ちいい。このサワサワと頬に当たる感触が。」
「ダメですってば。」
「嫌?」
「嫌…じゃないですけど。」
僕は友里の茂みをかき分けた。そこに小さな蕾を見つけた。
「可愛い後輩の須藤友里ちゃんのここ、こうなってたんだ。」
「先輩、それちょっとセクハラかも。ふふ。」
「もっと下も見ていい?」
友里が恥じらうように顔を横に向け、僕から視線を外した。
「先輩なら…私のどこに何をしてもいいです。したいように。」
「じゃ、膝を上げて。」
「はい。」
友里は僕に言われた通りに膝を上げていった。彼女の秘められた一番深いところが見えてきた。
「可愛い後輩の須藤友里…」
「セクハラですってば…。」
そう言いながら、友里の息は荒く乱れていった。
僕は、両手の親指で彼女の渓谷を開いた。
「あはあ…。」
見られただけだというのに、友里は切ない声を漏らし、目をつぶった。
僕はそこに顔を近づけ、舌で舐め上げた。
「んん…。」
友里が身をよじった。
「感じるの?」
「…当り前じゃないですか。そんなところにそんなこと。」
僕は執拗に舐め続けた。友里はそれに応え続けた。
舐める位置を少し上にずらした。そこには可愛らしい蕾…いや、それはもう十分に膨らみ、顔を出していた。
「ううぅ…くうぅ…。」
友里の反応が一段と激しくなった。
「せ、先輩…」
友里が僕の頭を掴んだ。
「そうなの?」
コクンと頷くのを確認していったん体を放した。
僕が装着している間、友里は目を閉じたままじっと静かに待っていた。
もう一度体を重ね合わせた。
唇を合わせると同時に先端を触れさせ、舌を入れるのとシンクロさせて友里の中へと入っていった。
「ああぁ…んんっ…入ってくる、先輩が…ああ、やっと私に…入ってくれた…。」
「友里…。」
僕は彼女の髪を撫でながら腰を動かした。応じる動きを下から感じた。
あの日の時、まだ男を知らなかった友里は今、僕に身を委ね、カラダの悦びを隠そうともしない。
それどころか、貪るように自ら唇を求め、しがみつき、腰をくねらせすらしている。
ああ、心地よいリズム。まるで音楽のようだ。音楽?このテンポ、このリズムパターン…これはまるで…。
目の前に太陽の日差しが一気に広がった。眩しくて目を開けていられない。
蒸し暑い真夏の音楽室。
額に汗を浮かべながらフルートを吹いている友里。それを見ている指揮台の僕。
笑ったり騒いだりちょっとだけ喧嘩したりの賑やかな連中。
体調を崩して先に部屋に帰った友里を心配しながらもミーティングを続けた合宿の夜。
あのテンポ、あのリズムパターン。このテンポ、このリズムパターン。
それは吹奏楽コンクールの課題曲。
教室の窓から手を振る友里。それに応えられない僕。
思いつめたような友里の瞳、逸らした僕の視線。
「あれ…?」
友里の顔に水滴が付いている。それは僕が零した涙。そして友里の目から溢れた涙。
戻ることの出来ないあの瞬間。
取りに帰れない…僕らの忘れ物。
また巡り合い、愛し合っても。
僕らはもう、あの日の僕らではなくなってしまったから。
コンクールの課題曲が、僕らの夏が、淀みなく進んでいく。
「くうぅっ…。」
「あはぁっ…。」
互いの涙を擦り付け合い、抱きしめ合って、その時を迎えた僕らは一つになった。
ガチン、ジーーー。
ドアの方からロックが解除される音が聞こえた。