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お母さんじゃない
【母子相姦 官能小説】

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お母さんじゃない-2

(2)

「お母さん……」
裕太が亜由美の後ろ姿に声をかけたのはひと月ほど経った頃だった。それまで何度か出かかっては言葉にならなかった。抵抗があったのではなく、照れ臭かったのである。亜由美の自分に対する心のこもった接し方に気持ちがそよいだといえる。 

 振り向いた亜由美の表情はめまぐるしい変化をみせた。初めはきょとんとして、すぐに顔を赤らめ、その目に潤いが満ちた。
「なあに?」
裕太はその返事に驚いたように顔を伏せ、
「……なんでもない……」
そのまま2階の自室に駆け上がっていった。

 亜由美が彼の名前を呼び捨てで呼んだのはその翌日のことである。
朝食の時、裕太が食卓に着くと、
「おはよう」
亜由美が背を向けたままで言った。初めてのことである。いつも笑顔を見せて裕太を迎えてくれていた。声も小さい気がした。
「おはよう……」
裕太も昨日、「お母さん」と呼んだ気恥ずかしさを引き摺っていていくぶん小声になっていたかもしれない。
「ふつうの食パンとレーズン、どっちにする?……裕太……」
ぽっと胸が温かくなった気がした。
「ふつうの……」
「わかった……」
2人とも嬉しくて、少し恥ずかしい顔を見合わせた。以後、余計な言葉を交わすことはなかった。父のいない日のことであった。

 
 この日以来、亜由美と裕太は互いを、
「お母さん」
「裕太」
そう呼び合った。だがそれは、2人きりの時に限られた。約束したわけではなかった。なぜかわからないが、そうなった。

 
(お母さんと呼んでくれた……)
亜由美はたとえようのない喜びを感じて、胸を熱くしたものである。
 思春期の男の子の母になる。子供を産んだこともないのだ。どう接していいかなんてわかるはずもない。両親からは猛反対されて、今は絶縁状態である。無理もないと自分でも思っていた。
(時間をかけるしかない……)
いつか3人で一緒に実家を訪ねたい。それには裕太とうまくやっていくことだった。それ以外に道はない。当然のことなのだが、それが一番難しい。決まった方法はないし、誰しも考え方、感じ方が異なる……考えた末、出来る限り自然に接すること……そこに行き着いた。自然、というのは曖昧ではある。ただ、母になろうと努めないこと、亜由美はそのことだけを心に決めることにした。

 「お母さん」と呼ばれた時、実は一瞬自分のこととは気づかず、それがわかってからはどんな顔していいのか戸惑い、嬉しさを隠しながら平静を装ったのである。
(よかった……素直な子で……)
ほっとして、嬉しくて、なかなか寝付けなかった。
(そうだ、今度は私が……)
母親らしく「裕太」と呼ばなければ。それも、自然に。
(どうしよう)
その場面をいろいろ想像して、ときめくような気持ちに揺れたのだった。


 ピアノ教室の看板を掲げただけで1人、2人と生徒が集まるようになった。その中の1人、大場めぐみと裕太が出会ったのは夏休みに入って間もなくのことである。

「明日の午前中、前に来てた生徒さんが練習に来るの。裕太、うちにいる?」
合唱部の伴奏をするので練習させてほしいと言ってきたという。
「秋にコンクールがあるからね。実家で教室開いてた時の生徒なの。すごく弾ける子なのよ」
本番はグランドピアノなので慣れておきたいということだった。
「お母さん、用事があって出かけちゃうの。悪いけど、いてくれる?」
「いるだけでいいんでしょ?」
「うん。来たらカギ開けて、終わったら勝手に帰るように言ってあるから」
「うん、わかった」
そして出会ったのがあゆみだった。

「あら……」
「え?」
2人して驚いた。
「裕太君?」
めぐみは小学校の同級生である。中学は私立の中高一貫校に進み、その後、裕太は隣の駅近くに引っ越したので見かけることさえなかった。

「君の家なの?」
「うん……」
「ということは、先生はお母さん?」
裕太は父親が再婚したことを話した。実母のことや経緯など細かなことは言わなかった。「そうなんだ……びっくりした。お邪魔するわね」
 めぐみの家は金持ちで有名だった。『お嬢様』……彼女のことをみんなそう思って内心敬遠していたことを憶えている。ツンと澄まして、着ている服も他の子とは違う派手なものだった。しかし、近寄り難い存在でありながら、裕太はめぐみに密かな憧れをもって見つめていたものである。こっそり抱いていた初恋だったかもしれない。
「スリッパお借りするわ」
 相変わらずの大人びた言葉遣いに当時を思い出した。

 2階の部屋でピアノの音を聴きながら、裕太は微妙な心の揺らぎを感じていた。ピアノのことはわからないが、上手いとは思う。裕太が気になっていたのはそんなことではない。
(可愛い……)
元々人形のような愛らしさは目立っていたが、いまの裕太が感じる『可愛さ』は仄かな憧れではなかった
(大きな胸……)
豊かな膨らみが頭にこびりついて離れなかったのである。
 Tシャツを押し上げた豊かな乳房。背中に透けるブラジャー。スカートに包まれたお尻は『大人の膨らみ』を持っていた。
 小学校以来で、いまは高校生なのだからその変わり様は当然だが、それにしてもときめきを覚える成長ぶりだった。
  

 

  


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