もう一人の自分-3
いまいち言ってる事が理解出来ない。
「風馬君?……どうして君と私と二人で行くわけ?」
「だからさ。」
「そりゃー良い気分転換にはなるかもしれない、けど!それをしたところで何か解決するの!?…まさか私と君が仲良く楽しくしている所を写真か何かで見せつけて、そうか!それで現実を分からせて、それで。」
「ストップ、ストップ、ストップー!」
「え。」
私の考えを遮り、声を張り上げる。
「まさか…が多すぎだよ。」
「けど。」
「僕の言いたい事、いまいち理解してくれてないようだね。」
「それは………はっ!まさかお土産!?そうか、それを何気なく渡してそこから。」
「……。」
何を言ってるんだ、と言わんばかりに渋い顔をする彼。
「…まっ、君の見当はずれの想像が後どれくらいあるのか、興味がなくはないけど。」
最早笑い話にされていて。
「答えは何?」
「……答えも何もさっき自分で言ったじゃないか、一番最初に。」
「私の前に楽しそうに談笑する。」
「その最初じゃ。」
「ふと、一冊のアルバムに目が止まる、そこには私の友人たちの。」
「一番最初に戻り過ぎだってばぁー!……はぁはぁ。」
息を切らしおって、少しおもろくなってしもうたやろ。
「……あっ!もしかして君と一緒に行ってリラックスしようっていう。」
コクッコクッと首を縦に二度振る。
「君はさっきから力の入れ過ぎだ、岬さんとよりを戻す事ばかり考えている。」
「そりゃーだって。」
「善は急げってね。」
「逆でしょ、急げば回れ、じゃない。」
茜ちゃんとよりを戻そうと勝手に不安に感じて絶望に打ちひがれていた筈なのに、気づけばこんなコントみたいな空気に。
「ぷっ、あははっ♪」
「!」
「逆でしょ、急がば回れ、じゃない♪」
「……。」
どこかぶつけた?とでも言わんばかりの険しい顔。
「……でもそっかぁーそうだよね。」
「うん、善は急げってね。」
「だからそれは逆だってばぁー、あはははははぁ!」
「あっはっは!」
周りからしたらなんだこのバカップル、頭のネジが取れたのかって言われそう。
「一応このチケット三人までオーケーみたいだけど。」
「急がば回れ。」
「うん分かったから聞いて、とにかくこのチケットは僕が持ってるから。今度の休みの日に一緒に行こう、そしたら楽しんでるうちにいいアイデア、と言うより勇気が持てるかもしれないし。」
チケットを可愛らしく両手で持ちそう説明をする彼。
…これがどんな結末になるか誰にも分からない、けどこのまま頭の中で決して辿り着く事もない考えをするよりはマシだろうし。
未だ彼女と仲を修復する勇気もないのになぜだか心に余裕が生まれて来た。
ありがとう、風馬君。