悪だくみ-1
マギーの仮説は市長選挙にて佐川明子を当選させる為に対抗馬の梶山の秘書についた小渕愛子が佐川明子と敵対しているかのように振る舞い、実は全ての行動が裏で結託している佐川明子に有利に働くように工作され、まず佐川明子が市長になった時に邪魔になる存在をまず消し、そして市長になった暁にはゆくゆく梶山も排除して小渕愛子は佐川明子の秘書になる、という事であった。恐らく2人は私利私欲に塗れており、権力を手に入れ、同時に私腹を満たすつもりなのではないかと読んだ。
学生時代の佐川明子と小渕愛子を調べている過程で、2人に共通する事てして権力が大好きで、そしてプライドが高く身につけている物も高級品ばかりでかなり派手な私生活を送っていたと言う情報を得ていた。聞き込みではお互いが張り合うかのようにとの話が多かったが、別な受け取り方をすればブランド好きな2人がブランド物好きと言う共通の趣味のもと一緒に豪勢な生活を楽しんでいたとも取れる。その推測から最終的には2人で結託し豪勢な生活を送る為に仕組んだ計画なのではないかとマギーは考えていた。REVOLUTORなる者から片方だけではなく佐川明子と小渕愛子が標的にされると言う事はどちらも彼らにとっては悪と言う事だ。可能性としては体を使い物事を有利に進めようとする事に対しての罰か、もしくは2人がグルだと気づき罰を与えたかのどちらかであると考えていた。そのようなやり方が許せない人間か、2人に恨みを持つ者の犯行かはまだ見極められないでいた。前者なら佐川明子と小渕愛子と全く接点のない人間でも容疑はかかる。後者なら確実に接点のある人間の犯行だと言える。どちらの可能性も持ちながらも、全裸張り付けと言う特殊な罰を与えた事からマギーは恨みと言うものを凄く感じた。マギーは2人に接点のある人間の犯行に比重を持ち捜査に当たる。
「どうして私達ってこう…なんて言うか…痴話事件みたいなのばっか降りかかるのかなー。」
華英が溜息をつきながら言った。
「千城で刑事をしてる者の宿命よ。湯島武史の影響力はそれだけ強かったって事。だから私達がどれだけ捜査に命をかけてその根っこを引き抜いていけるかにかかってる。いつまでもこの千城をレイプだの覚醒剤だの、そんな忌々しいものに根をはらしておく訳にはいかないのよ。」
「ですよねー。てかマギー、地元人じゃないのにすっかり地元愛を持っちゃってるんですねー。」
「わ、悪い!?」
「いーえ♪」
ニヤニヤする華英をキッと睨みながら少し照れ臭く感じていたマギーであった。