投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

良助
【青春 恋愛小説】

良助の最初へ 良助 17 良助 19 良助の最後へ

1 裕子-18

 「おい。俺、木原と約束取り付けたぜ」
 「そうか」
 「だけど後で一緒に室野の家に行くことにさせられた」
 「室野の家?」
 「お前も後で来いよ」
 「室野の家なんか行きたく無い」
 「まだ大人になりきれないんだな」
 「どうして?」
 「厭な奴でも付き合っておくのが大人っていうもんだぜ」
 「それじゃ大人になりたくない」
 「俺な、婚約者が文化祭見に来るんだ」
 「それじゃ木原はどうするの?」
 「だから親父に頼んで一緒に来て貰うんだ。1人で来たら俺が送ってかないといけなくなるだろ」
 「そうか」
 「お前は誰も来ないの?」
 「姉さんが来ると言ってた」
 「え? 姉さんが来るのか」
 「うん」
 「俺に紹介しろよ」
 「紹介しなくても知ってるじゃないか」
 「だから一緒にお茶を飲みに行くとか、そういう機会を作れっていうこと」
 「そんな暇あるかな?」
 「暇なんて作ればいくらでもあるんだ」
 「それじゃそうする」
 「小山君お姉さんが来るの?」
 「うん」
 「私にも紹介して」
 「姉さんもそう言ってた」
 「そう言ってたって?」
 「大和田さんと田宮さん紹介しろって」
 「わあ光栄ね」
 「田宮はどうしたの?」
 「さっき帰ったのよ。やっぱりお母さんの具合が良くないんですって」
 「そうか」
 「でも明日はカメラ持って絶対来るからって」
 「そうか」
 「カメラって何?」
 「写真機」
 「馬鹿。お前に聞いてんじゃないの」
 「うん、記念の写真を撮っておこうって話したの」
 「こいつと?」
 「うん田宮さんと3人で」
 「そうか、俺もカメラ持って来よう」
 「粕谷君は誰かとデートするの?」
 「うん、木原が俺とデートしたいみたいだから」
 「木原さんとデートなんてやったわね」
 「だからカメラ持ってこないと。いいこと聞いた」
 「私の写真も撮ってくれる?」
 「あん? まあいいけど1枚だけな」
 「あらぁ、随分ケチなのね」
 「粕谷は大和田さんのこと色気が無いって言ってた」
 「え?」
 「おい」
 「粕谷クーン、もう1回衣装合わせするから来て」
 「ホーイ。それじゃ俺は失礼する。木原嬢がああ言ってっから」
 「粕谷君は高校生で色気だなんて言ってるの?」
 「あいつ女慣れしてるから」
 「小山君は女慣れなんてしたら駄目よ」
 「大和田さんは姉さんと同じこと言うんだな」
 「お姉さんもそう言ってたの?」
 「うん」
 「いいお姉さんみたいね」
 「全然」
 「お姉さんに会うの楽しみだな」
 「何で?」
 「だって興味があるもの」
 「どうして?」
 「どうしても」
 「大和田さん、姉さんがいないからじゃないか?」
 「ああ、そうね。そういうこともあるかも知れないわね」
 「姉さんがいると口うるさい母さんが2人いるみたいなもんなんだ」
 「あら、そうなの?」
 「うん、しょっちゅう僕の部屋来て検査するんだ」
 「何を?」
 「ナイフ持ってないかとか」
 「ああ、私も弟の部屋調べたことあるわよ」
 「姉さんってみんなそんなことやるのか」
 「ええ、姉としての務めだから」
 「僕の姉さんもそう言ってた」
 「そうでしょう、年上だと大変なのよ」
 「でも僕は妹の部屋を調べたりはしないな」
 「それはしなくていいの」
 「そうか?」
 「女の子はナイフ隠してたりしないでしょ?」
 「そうか、そうだな」
 「今日は田宮さんいないけど2人で食べに行く?」
 「うん」
 
 店に行くと室野芳恵が1人でラーメンを食べていた。


良助の最初へ 良助 17 良助 19 良助の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前