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良助
【青春 恋愛小説】

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1 裕子-17

 「どっちが好きなの?」
 「田宮は別に好きじゃない」
 「じゃやっぱり大和田って子が本命か。何処に行くの?」
 「カラオケ」
 「何時行くの?」
 「文化祭の後」
 「こっちの田宮って子とは?」
 「だからカラオケ」
 「何時行くの?」
 「だから文化祭の後」
 「何?」
 「何って何? 姉さんも一緒に行きたいの?」
 「私が行ってどうすんの。3人一緒にカラオケに行くの?」
 「だからさっきからそう言ってる」
 「そんなのデートって言わないんだよ」
 「どうして?」
 「女の子と2人で会うのをデートって言うの」
 「そうか」
 「どうして粕谷君誘わないの?」
 「誘ったけど粕谷は木原とデートするって」
 「木原ってどの子」
 「これ」
 「これも美人だねぇ。粕谷君って持てるのかな」
 「あいつ女慣れしてるから」
 「ああ、家が生け花教室やってるって言ってたね」
 「うん」
 「良介は女慣れなんかしないでいいよ」
 「どうして?」
 「まだ早い」
 「でも粕谷はもう結婚する相手も決まってるんだ」
 「え? 嘘でしょう」
 「親父が決めたらしい。弟子の中で1番才能がある女なんだって」
 「ああ、家を継ぐのか」
 「うん」
 「なるほど。そういう子は早熟なんだよな」
 「僕の結婚する相手も母さんが決めるのかな?」
 「どうして? そんなこと無いと思うよ」
 「そうか」
 「何で? 母さんに決めて欲しいの?」
 「ううん、聞いただけ」 
 「文化祭私も行ってみるわ」
 「何で?」
 「姉としての務め」
 「務め?」
 「大和田さんと田宮さん紹介しなさい」
 「姉さんに?」
 「うん」
 「何で?」
 「どんな子か見たい」
 「2人とも僕より頭がいいよ」
 「そんなこと分かってる」
 「姉さんより頭いいと思う」
 「頭の良し悪し見るんじゃ無いの」
 「顔?」
 「まあ、それもある」
 「紹介してもいいけど変なこと言うなよ」
 「変なことって?」
 「マザコンとか」
 「ああ、言わない。良介の恥になるようなことは言わない」

 いよいよ文化祭の前日になると皆浮かれて早く帰ろうという生徒はいない。もうすっかり準備も出来上がって何もすることは無いのだが、皆何となく学校に残っている。


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