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良助
【青春 恋愛小説】

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1 裕子-16

 「何?」
 「姉さん、男の友達いるか?」
 「いっぱいいるよ」
 「好きな奴いる?」
 「私が?」
 「うん」
 「いるよ。何で?」
 「そいつのワイシャツ着たことある?」
 「私が?」
 「うん」
 「何で? ある訳無いじゃん」
 「そうか」
 「何で?」
 「何着て寝てる?」
 「え?」
 「夜寝るだろ」
 「あ? 寝間着着て寝るよ。何で?」
 「ただ聞いただけ」
 「変なこと聞くなぁ。どうしたの?」
 「どうもしない」

 良介はこの頃大和田裕子と接触する機会が増えて裕子のことを好きだという気持ちが段々自分にも分かってきた。それでも裕子のブルマを穿いて嬉しいという気持ちには全然ならなかったし、裕子の服を着たいとも思わない。好きになった相手の服を着たいというのはどういうことなのか理解出来なかった。セックスを経験すると何かそんなことを考えたりするようになるのだろうか。すると大和田や田宮はセックスの経験者ということになってしまうが、まさかそんなことは無いだろうと思う。田宮ならあり得るかも知れないが、大和田さんはまさかある筈無いと思う。だから好きになった相手の服を着たがるというのは多分女に特有の気持ちなんだろうと思って恵子に聞いてみたのだ。
 良介が自分の部屋に戻って少しすると今度は恵子がやってきた。

 「良介。タンス開けるよ」
 「何で?」
 「ちょっと所持品検査」
 「所持品検査?」
 「不審な物は無いねぇ」
 「不審な物ってナイフ?」
 「ナイフじゃ無い。女の服」
 「女の服?」
 「ひょっとして女の服持ってないかと思って」
 「何で?」
 「変なこと聞くから」
 「変なことって?」
 「好きな男のワイシャツ着たことあるか聞いたでしょ」
 「ああ」
 「誰か女の子にワイシャツくれって言われたの?」
 「学生服くれって言われた」
 「女の子に?」
 「うん」
 「大和田さん?」
 「違う。田宮」
 「田宮ってどの子。写真見せてごらん」
 「持ってない」
 「クラスの全員が写った奴あるでしょ」
 「ああ、それならある」
 「どの子?」
 「これ」
 「うーん。これが田宮っていうのか」
 「うん。何うなってるの?」
 「これはいかんな」
 「これって田宮のこと?」
 「うん」
 「どうして?」
 「良介には美人過ぎる」
 「美人かな」
 「じゃ何、顔じゃなくて性格が好きなの?」
 「別に好きじゃない」
 「だって学生服くれって言われたんでしょ」
 「だから僕が言ったんじゃなくて田宮が言ったんだ」
 「ああそうか。で、断ったの?」
 「うん」
 「良介って意外に持てるんだね」
 「そんなこと無い」
 「デートしたことあるの?」
 「まだ無い」
 「まだ?」
 「もうすぐする」
 「この子と?」
 「そいつと大和田」
 「何? いっぺんに2人か」
 「うん」


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