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僕は14角形
【ショタ 官能小説】

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僕は14角形-7


 明日になったら買い物に行かなくては。僕に不可欠なトマトにんじんセロリの大量に仕入れ予定を脳内ディスクに書き込む。揮発性だけど。
 僕は指で数える。母親、ナッシング。父親アンノウン。友人、ナッシング。テレビ、苦手。スポーツ、興味なし。音楽はそこそこに。読書は好きだけど、偏っている。なんだかね。
 そして趣味は……とりあえず経験のないセックス。
 躯全体を使ったスポーツ。趣味じゃなければ不可能ないろいろ。努力しないと報われない哀しい心のやりとり。
 いたたまれなくなって、深夜コンビニへ。お酒は未成年ペケだから、ジンを万引きする。罪滅ぼしに、どうでもいい雑誌を買う。サイテーだね。部屋に帰って、ジュニパー・ベリーとコリアンダーの香りに身をまかせて罪悪感を心から満喫する。今度の土曜日にはちょっと冒険しようか、なんて不埒なことも考えてしまう。そういえば、この街には精神科があるのだろうか?とりあえずデパスとロヒプノールとマイスリー突っ込んでジンで流し込みお布団へ。

 僕の空想癖は、実は立派な病気で不眠症を伴う。昔から長いので、精神科の先生とはすっかり仲良しで、W・ライヒとか生意気なお話をしたりする間柄だ。しかしながら、引っ越しに伴ってちょっと遠い。しかし、未成年に気軽に睡眠導入剤を処方してくれる粋なお医者さんはそう多くはないだろう。「運動部に入りなさい」とでも言われたら洒落にならないばかりか学校へも報告される。そんな不吉な想像をしつつ、ちびちびジンを舐める。ピリピリして舌に沁みる。なんて心地良い倦怠感。

 メインタンク、ネガティブ・ブロー。曳航ソナー収納。 僕はそのままノーチラス号のネモ船長になる。


 というわけでもう放課後である。ちょい曇り気味だけど僕は雀じゃないのでお天気の話はしたくない。だからとりあえず近くの兎に話しかける事にした。

「いちご。このあたりでどこか安くて混んでなくて新鮮な食べ物を扱うおっされーなスーパーを知らないかね」

 今日も抜群にフリフリないちごは「はてな」のマーク。

「お料理ってしたことないし。いちごは知りません」

「そうだよ。いちごの家じゃお母さんだってフライパン持った事がないんだよ」と、真上から攻撃を受ける。潜水艦は上に着かれると弱いのだ。

 ただでさえ細くて異常に背が高いのに、漆黒のフィットしたシャツにバックスキンのベスト、黒のスリムなジーンズと流行とかポップティーンとかにはまるで関係ない風体である。
「ここいら辺じゃ、まあ『うまげや』とか『コジママート』があるけど、「ツウ」は錦通りの商店街。みんな専門店だから鮮度も品物もいいわよ」

「ふむふむ。すると問題があるな」

「なによ、問題って」

 僕はエッフェル塔を見上げたアメリカ人みたいに答えた。

「『買い物かご』という物を買わなくてはならない」

 というわけで。綿星国子と並んで道を闊歩する事になった。並木道の歩道は思ったよりも広く歩きやすい。首の角度さえ考えなければね。

「ったく、いったい綿星は身長いくつあるのだね」

「女性に面と向かって言うことかしらね」

「体重とスリーサイズはそうかも知れないけど。この場合少なくとも何階建てだか知っておく必要があると思った」

「う〜ん。しゃあないか。185センチ」

「それって、ピサの斜塔とどっちが高いのか教えてくれないか?」

「おめーがチビなんだよ、シオ」後ろ頭どつくな。

 綿星が連れてきてくれた店は、ちょっと見アンティーク・ショップみたいだったが、ちりりんとドアを開けると見事なアジアンショップであった。三角錐のお香、銀の煙管、超ミニサイズのオカリナを吊したネックレス。インディオ御用達の上着と幅広の帽子、スケスケのサリー。


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