妙子2-32
「厭よ。こんな物で感じさせられたら本物入れてくれないと厭」
「何で?」
「私はおもちゃじゃないんだから」
「それはそうだけど、俺のこと好きなんだろ?」
「好きでなきゃ、こんな物穿かないよ」
「だったらお前の好きな俺が頼んでいるんだ。ちっとは我慢してもいいじゃないか」
「我慢するって痛い事なら我慢も出来るけど、感じるっていうのは我慢なんて出来ないよ」
「まあ、そう言わずに試しにスイッチ入れさせてくれ」
「少しだけよ」
「ああ。少しだけだ」
「あっ」
「感じるだろ」
「ウウー」
「唸ってるな。これは凄い」
「止めてー」
「え?」
「も、もう駄目」
「もう駄目って、今スイッチ入れたばっかじゃないか」
「駄目、駄目」
「おい。抱きついたら見えないじゃないか」
「も、もう止めて」
「止めてって、スイッチは此処に付いてるんだ。自分で止められるだろ」
「あー、死ぬかと思った」
「大袈裟だな」
「大袈裟じゃないよ」
「どれ。おーおー、濡れてる濡れてる。妙子は偉い」
「濡れると偉いの?」
「それは偉い。こういうので俺を楽しませてくれれば、俺はますます妙子が好きになって行く」
「口が上手いんだから」
「本当のことだ」
「そんなこと言われると厭でも我慢しないといけなくなっちゃうじゃないの」
「そうさ。愛し合ってる2人ならセックスも喜びだ。大いに楽しまないといけない」
「これってセックスじゃないじゃない」
「ん? 要するに性的な喜びを楽しもうと言ったんだ」
「研ってあんまり強くない割にはいろいろ変な事やりたがるんだね」
「強くないから変なことやって楽しもうと思うんだ」
「強くないと変な事やりたくなるの?」
「そうだな。強いと、とにかくセックスしたくなるから変なことなんか考えもしない訳だ」
「弱いとセックスだけじゃなくて変なこともしたいと思わないもんなんじゃないの?」
「あのな。俺は強いとは思ってないが、弱いとも思ってないんだ」
「そしたら毎日やろうよ」
「馬鹿。毎日やってたら死んじまう」
「まさか。大袈裟ねえ」
「大袈裟じゃない。俺は職業柄いつ襲われるか分からないんだ。そんな時にセックスやり過ぎてヒョロヒョロしてたら殺されちまう」
「そういうことか」
「そういうことだ」
「あれから襲われてない?」
「あれからって、たった3日前のことだぞ。そう年中襲われて堪るか」
「そうだね」
「この頃あんなことが続いてるんで、気が立ってるんだ。だからこういう物をお前に穿かせたりするんだな」
「気が立つとこういうことしたくなるの?」
「そうだ。こういうことすると気が静まるんだ。これくらい阿呆臭くて平和な遊びも無いだろ?」
「阿呆臭いのは確かだね」
「お前もそう思うか」
「だって本物の方がいいのに、こんなのにお金使って阿呆臭いよ」
「本物は本物の味。おもちゃはおもちゃの味で、又別物なんだ」
「そうかな」
「気が立ってる時は、こういう阿呆なことやって楽しむと気が静まる」
「普通のセックスだと気が静まらないの?」
「普通のセックスじゃいかん」
「どうして?」
「普通じゃない災難に遭って気が立ったんだから、普通じゃないことしないと駄目なんだ」
「良く分かんないけど、それじゃ仕方ないから我慢する」
「そうさ。俺が平和な気分に浸れるのは、お前といる時だけなんだ」