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Time Capsule
【初恋 恋愛小説】

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第5章 20年越しのキモチ-6

俊輔は20年前の友美の気持ちを伝えられ困惑してしまった。まさか友美が異性として自分に好意を抱いていたとは思わなかったからだ。そんな様子に気付いた友美はすこし焦りながら言った。
「あ、ごめんね…?気にしないで?そりゃあ迷惑よね、いきなりそんな事言われたら…」
自分の20年越しの告白が俊輔を困惑させてしまった事を謝った。
「め、迷惑じゃないよ。ちょっとびっくりしただけ…。」
そう言いながら照れ臭そうな顔をする。

「今考えればやっぱり子供だったんだよね。その時はもう自分は子供じゃないって意地を張ってたけど、やっぱり子供だったなぁ。好きなのに好きとも言わず、勝手に怒って勝手に距離置いちゃってさ。今ならもっと上手く対応できるんだけどなぁ。」
そう言ってジュースを飲んだ。

「て事で、もう昔の事はキレイさっぱり水に流そうよ。今はこうして普通に話せるんだから、ね?」
スッキリした様子の友美に対して、俊輔はまだ水には流せないような、そんな様子であった。

「水に流す前に…、どうしても友美に知っておいて欲しいことがあるんだ…」
神妙な面持ちの俊輔に、一体何だろうと言った表情で見つめる友美。
「何ぁに…?」
友美が顔を覗き込むと、俊輔はポケットに手を入れ何かを取り出した。それを見て友美の頭の中は真っ白になった。俊輔が取り出したもの、それは間違いなくあの時のボールペンだったからだ。

「ど、どうしたの…、それ…。もしかして岩波君から取り戻したの??」
「ううん?違う。これこそが友美に貰ったものなんだ。」
「えっ?」
どういう事か全く理解出来なかった。目を丸くしてボールペンを見つめる友美に俊輔は言った。
「言葉が足りなかったのは、俺の方なんだ。あの時友美が怒っている理由をちゃんと聞いていれば友美を傷つける事もなかったんだ。あの時、自分が異性として友美を好きだったかどうかは自分でも説明つかないけど、異性としてちゃんと友美を見ていたのなら、ただの友達だとして見ていたかどうかは自分でも自信ない。でも今振り返れば、友美と付き合えたら毎日が楽しかったんじゃないかと思うし、友美が中里と結婚したって聞いた時、胸の中がモヤッとした。それは中学の時にあんなんなんなければ、もしかしたら俺が友美と生涯一緒にいられたんじゃないかって、ふと考えちゃったからなんだよ。きっと自分も友美の事、好きだったのかも知れない…」

お互いの20年越しの告白に動揺してしまう2人だったが、まるでタイムマシーンに乗ってあの頃に戻り、行き違ってしまったその瞬間をやり直せているような気分になり、素直な心でお互い向き合っていたのであった。


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