第5章 20年越しのキモチ-2
「久しぶりだなー、卓球するの。」
コートを脱いだ友美は白のニットの服を着ていた。胸の膨らみにドキッとしてしまう。そしてタイツを履いているとは言え膝丈スカートだ。卓球をするとは思えないような服装だ。
「スカートで大丈夫??」
俊輔はそう言った。
「大丈夫よ。残念ながらパンツは見えないけどね!」
「き、期待してないし!」
「ほら、ムキになるぅ♪」
「…」
友美には全てを見透かされてしまいそうだ。それにそれだけ自分の性格がいかに中学生の頃からあまり変わっていないかが分かってしまう。
「まー、スカートでも負けないから!」
「言ったなー?俺が勝ったら何くれる??」
「えー?何が欲しいの??」
「…、終わるまでに考えとく。」
「まー負けないからいいけど♪じゃあ私からサーブね!」
「ああ、いいよ。」
「じゃあいくわよ?」
友美は久々とは思えない程に良いフォームでサーブを打った。本当に中学以来、卓球などしていなかった俊輔は全然触れなかった。
「…大人げないぞ!!」
「えー、昔なら返してたよ、今の。手、抜こうか?♪」
「!?い、いい!油断しただけだよ、今のは!次!」
「だよねー♪そんな弱くないよねー、俊輔は♪」
「当たり前じゃん。」
すっかりヤル気になった俊輔。友美に掌の上で弄ばれる俊輔は昔とちっとも変わっていなかった。中学時代も初めは全くボールを返す事が出来なかったが、すぐに順応しラリーが出来るまでそう時間はかからなかった。友美はそんな俊輔を知っていた為に全く手を抜かなかった。
ミスしても懲りずに向かってくる俊輔を見ていると、まるで中学時代に体育館で俊輔と卓球をしてたあの頃に戻ったかのように思えて来た友美であった。
(さすが!段々まともになってきた。)
すでに手を抜いたらポイントを取られてしまいそうな程に勘を取り戻した俊輔に友美は嬉しくなる。
(好きだったんだよなぁ…。)
時間を経て目の前の初恋の相手に、あの甘酸っぱい思い出を胸に浮かべていた友美であった。