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Time Capsule
【初恋 恋愛小説】

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第2章 特別ではない関係-4

夫婦の営みの後、ソファーの上で体を絡ませ合いながらキスを交わす2人。俊輔がゆっくりと唇を離すと、亜里沙が目を見つめながら聞いて来た。
「ねぇ俊輔、中里先生とは本当に何もなかったの…?」
ほらやっぱりね、そう思った。抱き合い余韻が冷めきれない間に聞いて来たと言う事は、どうしても気になって仕方がなかった証拠だろう。俊輔はその質問に対して心の準備はしていたし、動揺せずに答えられた。

「ん?ないよ。全くなかったよ。良くお喋りする女友達って感じかな。ま、女として意識した事はなかったなぁ。」
「本当?」
「ああ。それに中2だぜ?なんかあったとしてもたかが知れてるじゃん。キスどころかデートすらした事ないし。」
「そうなんだ。」
亜里沙がその言葉を信じた自信はあった。なぜなら言った言葉に一切偽りはなかったからだ。女は勘がいいものだ。なら真実を語る時と嘘を語る時の違いを感じ取る能力は高いだろうし、自分が嘘を言っていない事を分かったはずだと思ったからだ。やましい事がない事は本当にいい事だと心からそう思った。

「俊輔、中学の時、野球部のエースだったんだって?」
「え?あ、ああ。」
「フフ、結構モテたそうじゃん。」
「友美から聞いたの?」
「うん。」
少し表情に変化が見れたのは俊輔が友美を呼び捨てにしたからであった。俊輔もそこまでは気づけなかったが、いきなり野球をしてた話をされ少し動揺した。
「まー、モテたのかなぁ…?良く分からないよ。でもバレンタインとかチョコ殆ど貰えなかったから、やっぱモテなかったんじゃん?」
「そうなの?」
「ああ。てかさ、俺、昔からエロくてさぁ。だから女が寄って来なかったのかも知れないな。」
「だよねー。俊輔スケベだもんねー。事務所で平気で風俗の話とかしてたしね。アレじゃ引くよねー。」
「亜里沙は引かなかったじゃん。」
「だってー、私もエッチだもん。」
「あ、そっか。ハハハ!」
亜里沙が男から人気があったのはエロ話に上手く対応していたからだ。嫌な顔をせずに絶妙に対応していた。もし亜里沙がそう言う話題を毛嫌いするような女なら恐らく自分を好きになる事はなかったであろう。亜里沙とはつくづく気が合うなと思った。

後ろめたい事は何もない。実際何もなかった。だが、なら何故写メをシークレットフォルダに入れたのだろうと俊輔は思った。俊輔は自分では気付いていない後ろめたさが心の中に潜んでいた事にこの時まだ気付いていなかったのであった。


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