の-2
タクシーで白石の家の前まで送り届け
彼女が家に入るのを見届けて安心する。
泣かないで。
1人で泣かないでほしい。
俺がそばにいたいよ。
今この瞬間も抱きしめてやりたい。
そっと包むように抱きしめて
もう忘れろと、耳元で囁いてやりたい。
女を大事に出来ない奴は女と付き合う資格はない。
俺が大事にしてやるから。
そんな風に女の子に対して思ったのはいつ振りだろう。
仕事が忙しくて
仕事が楽しくて、
土日関係なく働いて平日はいつも終電。
そんなピンッと張りつめた毎日の中で
心に女が入る余裕がなかった。
それなのに、いつの間にかそっとはいりこんだ白石に心を奪われて
気がつけば空いた時間は白石の事だけを考えている。
仕事の合間に緊張や集中が切れた時
思い出すのは、彼女の事だけだ。
そんな自分にビックリして嬉しくなった。
彼女を好きだと自覚してしまえば
それはとっても簡単な事で
白石が男と別れたのなら遠慮することはない。
「日曜日、晴れろよ!」
俺はただそれだけを願っていた。