蓮の決意-3
「こんな筈じゃ、なかった。」
「一条君…。」
授業で二人一組でサッカーのボールの蹴り合いをするも、そのキックに力は微塵も感じず
「ねぇ、風馬君。」
「?」
「僕は、これからどうしたらいい?」
「…どうって、君はどうしたいの。」
「それは…。」
周りはみな楽しそうに、時にふざけて先生に注意される人たちで溢れている。
「……。」
僕の問いにボールをピタッと止め地面に視線を落とし考え込む。
「一条、君…。」
それから答えが浮かんだのか再びボールを僕の方に蹴り。
「勿論やり直したいよ。誰が何を言ったって僕の隣は他でもない巴しかありえないんだからさ。」
「…だったら。」
「でもっ!自信がないんだ!僕が…僕なんかが巴の恋人でいいのか、僕が彼女を本当に幸せに出来るのかって。」
彼はずっと前、彼女の真剣な問いにまともに答えてあげる事が出来ず、そのままその傷口はどんどん広がり悪化していき。
「一度勇気を振り絞ったら?そうしたらラクに。」
「け、けど。」
相変わらずそれにはアタフタと動揺する彼。
気持ちは分からないでもない、けどずっとそんなんでもよろしくない。
「行ってきなよ彼女の元に。」
「で、でも…。」
「大丈夫、いざって時には僕もついてるからさ。」
「風馬、君…。」
チラッとバトミントンをしている伊吹さんの方を振り向く。
「…巴。」
「きっと彼女だってそうして欲しい筈、待ってるんじゃないかい?」
そう優しく諭す。
「………。」
瞳をガッチリ閉じ、深く考え込み、そして。
「分かった、やってみる。」
「っ!」
「今日で終わらせる、巴と取り戻す!」
うん、その意気だ親友!
その目に最早迷いは無かった。