まけないで!ピュアドルチェ-7
【ふははは!!・・・では、遠慮なくお前のナカに、我がダークエナジーを注ぎ込んでやろう!!!】
笑い声で震える先端が、あたしの湿った入り口に押し当てられました。
つかまれたお尻に、女王の爪が食い込んで、ちょっぴり痛いくらい。
いよいよ腰を突き出して、あたしの身体が黒デコチンで刺し貫かれようとした、そのときです。
『むうっ!?』
力を込めようとした女王の動きが急に、止まりました。
『お、お前……そのデコペン!?』
女王アントラーが驚きの声をあげるのも、無理はありません。
あたしの右手で、小さい子のおチンチンくらいにしぼんでた、おばあちゃんの形見のデコペン。
『なぜ・・・何故だ、いつの間にエナジーを補給して……!?』
そうです。
元気を取り戻して、あたしのデコペンは淡い光に包まれていたのです。
『佐藤イチゴ、お前いったい何を……!?』
女王があわてて、四つん這いのあたしの肩をつかんで無理やり振り向かせました。
『そ、それは?……その顔はお前、まさか!?』
後ろを振り返ったあたしの口のまわりは、純白の生クリームでベッタリと、汚れていたのです。
そうです。
いつの間にか、女王に踏みつぶされて転がっていた、お届け物のケーキをあたし、コッソリ盗み食いしていたのです!!
「もう、許さないんだから!!」
クリームにまみれて、まるでサンタさんのオヒゲを生やしたみたいになった顔のまま、エナジーを補給したデコペンを構えて、
「チェーンジ、ピュアネス・サンタフォーム、デッコレーショーンッ!!!」
元気にあたし、叫びました!!
ほんのり甘い、薄桃色のシャンパンの香り。
綿菓子みたいにふわっふわの、純白のの三角帽子。
セクシーなノンホルダータイプのミニスカワンピースも、帽子と同じ純白ののツヤツヤしたベロア生地で出来てる。
そして、高いヒールの付いた真っ白なブーツ。
チリン、と澄んだ音を立てたのは、耳元に付けた、小さな金のベルの形のノンホールピアス。
以前よりずっと、からだが軽い。
ふと気付くとあたし、つま先が宙に浮かんでるんです。
なんと、あたしの背中に、純白の羽毛をちりばめた天使の翼が羽ばたいているではありませんか!!
「ホー、ホー、ホー!!!……奇跡の大逆転、召っし上っがれ〜〜!!!」
そう。
最後は純白のエンジェルサンタさんです。
呆然とする女王と黒デコチンを見下ろして舞い上がりながら、あたしは復活したデコペンに、せいいっぱいのエナジーをこめます。
「ピュアドルチェ、本日のスペシャルオーダー!!」
純粋な正義の心をこめてあたし、叫びました。
「・・・昇天しなさいッ……ヘルスエンジェル・・・ヘヴンズ・ドアー!!!」
全身全霊で叫んだあたしを中心に、純白の大・大・大爆発がひろがります!!
【『ぽわわわぁあああ〜〜〜ン』】
またたくまに女王が、そして黒デコチンが、白い光に呑み込まれてゆきました。
【仕損じた……我は仕損じたッ!!】
熱いミルクに溶けて行く角砂糖のように、まがまがしい姿が消えてゆきます。
【だが忘れるな……お前はすでに、淫らがましい堕落の道に1歩、踏み出してしまっているのだッ………お前の祖母、佐藤アズキと同じ……アントラーと同じ道を……グッ、グギャァアア、わ、忘れるなぁあアアアアアアア・・・】
爆風にさえぎられてほとんど聞き取れませんでしたが、黒デコチンの断末魔もろとも、爆発がゆっくり消滅してゆきました。
こうして、クリスマスを邪魔するわるものたちのたくらみは、このピュアドルチェが見事に打ち砕いたのでした。
みんな、応援ありがとう。
みんなのおかげであたし、ピンチのときもくじけないで、がんばれたんだよ?
この街のクリスマスを守るあたしをたすけてくれて本当に、ありがとう!!
これから、たのしい冬休みがはじまるね?
みんなも、雪遊びやゲームに夢中になりすぎて、今日のあたしみたいにゴハンを抜いちゃうと、いざというとき、チカラがでないんだから気を付けようね!?
・・・約束だよ?
〜おしまい〜