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『まほうのパティシエ ピュア☆ドルチェ』〜せいなるよるの おとどけもの〜
【ファンタジー 官能小説】

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とうじょう!まほうのパティシエ-2

『ジャマだジャマだ!!』
『どけどけ!!』
ちらつく雪空のした、白い息を吐きながら並んでくださっているお客さんの列をかきわけて、黒い人影がおおぜい現れたのです。

『おお、うまそうなケーキが、ここにもいっぱいあるじゃないか!!』

突然現れた彼らはみな、全身黒ずくめ、大きな赤い目に2本の角のような触角を揺らした、まるで巨大化したアリのような姿をしています。
『……ソレを全部よこせ!!』
『われわれに差し出せ!!』

『この街のケーキは全部、われわれアントラーズがいただく!!』

『ケーキを全部、われわれのクイーンにささげるのだ!!』

「きゃああ!!」
「うわぁ、あ、アリの化け物だぁ!!」
せっかく並んで待ってくださっていたお客さんたちが、アリの子を散らすように逃げ去って行きます。
『おおお、フルーツたっぷりで美味しそうだぞ!!』
『こっちのチョコレートもいい香りだ!!』
逃げ出したお客さんが落としていった箱から転げ落ちた、ママが心を込めて作ったせっかくのケーキが、次々と化け物たちにうばわれてゆきます。

『『『アリアリアリアリ〜!!』』』

ひどい。
みんなが楽しみにしていたクリスマスのケーキを、台無しにするなんて。

「みんなのたいせつなクリスマスケーキを横取りするなんて、ゆるせない!!」
あたしは思わず、レジカウンターを飛び出して、アリの化け物たちに向かって叫びました。

『なんだなんだ、われわれに刃向かう気か!?』
『お前みたいなコムスメに何ができる?・・・怪我したくなかったら引っ込んでいろ!!』
化け物たちは笑いながら、あたしをとりかこむと、
『ジャマだ、ソコをどけ!!』
あたしのエプロンや制服の白衣をつかんで、乱暴に投げ飛ばしました。

「きゃぁ!?」
うっすら雪が積もった道上に転がされて、あたしは悲鳴をあげました。
「イタタタタ……」
転んでしりもちを突いたお尻が痛いだけじゃなく、からだのあちこちが雪でグッショリ濡れて、風邪を引きそうです。

『アリアリアリ!?・・・コレはコレは!?』
あたしを投げ飛ばした1匹が、愉快そうに笑いながら、
『かんたんに破れてしまったぞ!?』
差し出されたソイツの手には、千切れた布の切れっぱし・・・エプロンごと破れた、あたしのスカートがにぎられていたのです!!

「えっ?・・・やだっ!!」
あたしが水溜まりにはまるのもかまわずしゃがみこんだのも無理はありません。
大きく破れたスカートのすき間から、イチゴ模様の下着が丸見えになってしまっていたのです。

『アリアリアリ!!イチゴだ!!』
『イチゴの絵だ!!』
『コイツ、ケーキみたいなパンツ履いてやがるぞ!?』

化け物たちは、恥ずかしがるあたしを指差して、お腹を抱えて笑い始めました。

恥ずかしい。
それに、くやしい!!

あたしのお気に入りのイチゴパンツを笑うなんて。
「もう、今度こそゆるさないンだから!!!」


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