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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第5章 救いの手-2

島田が取調室に入ると、憔悴しきりまるで別人のような朱音に戸惑う島田。しかし根底にはいつもの生意気とも取れる朱音よりもこちらの方が扱いやすいのになと思う気持ちもあった。島田は上司として義務的に取調べに当たったのに過ぎない。溜息をつき正面に着席し義務的な優しさを滲ませた表情で朱音の顔を覗き込む。

「大丈夫か?立花。」
正気のない目をしながら虫の泣くような声で答える。
「あれ程注意を受けておきながら…また勝手な行動を取ってしまい…本当に…すみませんでした…」
まるで老人のような動きで頭を下げ謝罪する朱音。電池切れ寸前の人形のようにも見えた。

「今回は庇い切れないかもしれないぞ…?」
「承知してます…」
朱音の頭の中は2人の体から血が噴き出していたあの光景が絶えず浮かんでいた。あの光景はショックであった。確かに銃の技術は高いと自認している。しかし今まで磨いて来た技術が人間に対してどのような結果を招くのかを知った朱音は銃の恐ろしさに押し潰されそうになっていた。

「私…、私…」
言葉に詰まる朱音に島田は言う。
「もう、刑事でいる事は難しいかも知れないぞ?これだけ世間が騒いでしまってるんだ、正当防衛を主張しても認めてはくれないだろうからな。」
やり過ぎだ…、そい言った批評が多くを占めている。死亡した美弥妃に関しても朱音が容疑者を刺激した事が招いた結果だと言う意見が多い。今回人質も容疑者も死亡している。その中で唯一生存している朱音が注目され標的にされるのは仕方のない事であった。朱音は容疑者と同じ視線で世間からの注目を浴びていたのであった。

「まぁ人質が刺殺された事はあくまで容疑者の凶暴性が招いた事態だとの見解を示すつもりだが…」
「いえ、2人とも私が殺したようなものです。私のせいです。わたしがいけないんです…」
「おい、これはお前だけの問題じゃないんだ。県警本部、いや警察全体の問題になってるんだ。今の言葉、二度と口にするんじゃないぞ?」
「でも…」
「でもじゃない。いいか?お前は度々単独で勝手な事をして来たが、何かあった時には組織が責任を取らされるんだ。これ以上組織を乱すな。お前は組織と言うものの重要さを全く理解していなかった。これはお前の身勝手な行動が生んだ深刻な問題だ。こうなるから我々は組織を厳しく重んじる訳だ。お前の手柄はお前のものかも知れないが、お前の失態は警察全体のものなんだ。お前は今まで組織を無視して身勝手にやり過ぎた。」
「申し訳ありません…。」
今の朱音の精神状態は何を言われても全て受け入れてしまう程に衰弱していた。全て自分が悪い…、身勝手な行動を全て反省する朱音なのであった。刑事を続けられる未来が自分には全く見えなかった。


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