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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第5章 救いの手-3

もたはや世間を納得させるには、朱音を懲戒免職にし警察から去らせる事が最低ラインの事だというのは既定路線だった。強姦強盗殺人事件を起こしたであろう容疑者よりも朱音に対するバッシングが多い状況の中、それは当然のこと考える署員、幹部は多い。それに加えて警察としてどう責任を取るかに頭を悩ませている。ある意味朱音に対する処遇を議論する手間はなかった。クビを切ればいいだけなのだから。朱音を警察からいち早く切り離して責任に対する負担を軽減させようとしていた。

朱音本人も、もう刑事を続ける自信はなかった。真っ赤な現場が頭から離れず神経が磨り減って行く。そんな中で朱音は自らの命すら断つ選択肢も頭の中に浮かんで来た。深い苦しみから解放されるにはそれしかない…、時計の針が一つずつ動くにつれてそんな気持ちが強くなって来た。

島田もさすがにこれ以上追い込むのは危険だと察知し半ば諦めかけたその時、県警副部長が取調室に入って来た。
「立花、本部長が及びだ。島田君も一緒に来なさい。」
「は、はい…(くそ!やっぱとばっちり食らっちまった。)」
そう思いながら朱音をチラッと見ると、無表情のままフラフラと席から立ち上がり、幽霊のように歩き始めた。もう言い渡された処分に無条件で従ってしまいそうな生気のなさを感じさせる朱音の後ろに島田はついて言った。

「失礼します。」
副部長を先頭に本部長室に入る朱音と島田。朱音は相変わらず生気のない無表情のままで、逆に島田は神妙な顔つきをして中へと進む。3人はデスクにどっしりと座っている前に直立した。
「今回の件は、一言で言って不祥事だ。警察として何らかの責任を取らなければならない。分かるよな?」
朱音は力なくゆっくりと頷く。どうか自分にはなるべく軽い処罰を…、そう思っていたのは島田であった。
「立花、お前はには懲戒免職と言う形で責任を取ってもらう。いいな?」
「は…い…」
もはや何も考えず、そう頷く他はなかった。今まで何度も本部長に呼ばれた事はある。しかしその全てが捜査で結果を出した事によるお褒めの言葉ばかりであった。本部長からは褒められた事しかない。しかし一度の失態は全てそれを帳消しにしてしまった。今更ながら自分が組織の中で機能していなかったか身に染みて分かった。個人としての手柄ではなくチームとしての手柄だ…、その時そう思えていれば今回のような身勝手な捜査をする事はなかったであろう、そう気付いた時にはもう遅かった。警察の中で一つの駒になるのが嫌であった朱音だが、駒になる重要性にようやく気付いた朱音なのであった。


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