全裸より恥ずかしい格好で-2
いわば、私はサクラ。
集まった素人の乙女たちは想定以上の恥ずかしいオーディションや撮影を経験することになる。
だから、慣れたヌードモデルが率先して脱いでみせることで、乙女たちの抵抗を減らそうというモクロミなのだ。
まるで、マラソンのペースメーカーだ。
下手したら、私の裸はボツになるんじゃ?
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書類選考を通過した15名(私を含む)が会議室に集められた。
普段着ばかりだが、みんな清楚な印象だった。
私の番は6番。1〜5番は最初からいない。私が無審査だということのカモフラージュだ。
合図があり、トップバッターの私が立つ。
OL風のスーツだ。
さらに合図。
公開脱衣だ。
スーツの下は青いビキニの水着をつけていた。
乙女たちも同じ。あらかじめ更衣室で着替えている。
ビキニの水着かシンプルな下着で審査に望むのだが――
靴も脱いで裸足になる。
くるりと回ったりはしない。バックは撮らないから関係ない。
ただし――
そろそろいいですか?
という進行役の言葉に応じ、
私は上の水着を外した。
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恥ずかしいですか?
と質問され、
はい、と小さく答えた。
そして、緊張します、とつけ加えた。
正直な気持ち?
うーん、平気じゃなかったのは確か。
事前に指示されたとおり、恥ずかしがる演技をしているうちに、本当に恥ずかしくなってきた、みたいな?
絵コンテ通り、石鹸を渡され、ポーズし、はにかむ。
後ろの乙女たちは、半裸の私に何を感じるだろう。
ポーズを解き、乳首が再び現れた瞬間が一番恥ずかしかった。
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私を含め、7人が合格した。
半裸オーディションは予告してあったから、あっけないほど、みんな冷静だったのだ。(口では、恥ずかしいと言ってても)
こういう感覚、男性にはわからないのだろうな。
下着姿を平気でさらしたのが3名。
最初から水着の上をつけていなかったのが2名。
全裸でもかまいません、と言ったのも2名だった。
“恥ずかしがる処女の花嫁”の実態がこれなのだ。
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